盛岡タイムス Web News 2011年 7月 12日 (火)

       

■ 〈イタリアンチロルの昼下がり〉126 及川彩子 トスカーナの民宿

     
   
     
  南北に細長い国土のイタリア。ミラノやローマなどの大都市を除けば、のどかな小都市が多く、いずこへ行っても、ゆったりとした時間の流れが心地よく感じられます。

  最近、注目されているイタリア式休日の過ごし方は民宿巡り。大農家の一角を旅行者に開放した民宿は、イタリア語でアグリツーリズモ。自然豊かな農村体験が人気です。

  私たち家族も、バカンスの始まった6月初め、友人に紹介されたイタリア中部トスカーナ地方のアグリツーリズモを訪ねました。

  ここアジアゴからフィレンツエまで車で4時間余り。その郊外に広がるトスカーナの丘陵地帯は、イタリアを代表するワイン「キャンティ」の里。そして上質のオリーブ油の産地で知られます。

  緑輝く丘をいくつも越えて行くと、小高い丘の上に民宿「ファットリア・アルバネーゼ」がありました。到着すると、オーナーのアルバネーゼさん夫妻と民宿を手伝う娘さん〔写真〕、90歳の曾おばあさんの4人が出迎えてくれました。さっそく通されたのは、農家の屋根裏を改装した木の香りいっぱいの部屋で、家族4人で一泊5千円。窓に広がるのは、一面のオリーブ畑。丘全体が、モスグリーン色に輝く光景に、心が癒やされていくようでした。

  周囲7`四方、約1千本のオリーブの木を家族4人で管理、オリーブ油にして出荷しているのだと語る娘のロレンツァさんは25歳。「収穫期には、朝5時から夜まで、オリーブまみれよ」と笑うのでした。

  夜は、トスカーナ名物の塩なしパンに、自家製のオリーブ油を塗ったブルスケッタ。オイルと思えないフルーティーな味でした。

  アルバネーゼさんは、フィレンツエ市内に住んでいましたが、この丘を丸ごと買い取り、オリーブ作りを始めたのが30年前。25年前に大寒波でオリーブ畑が全滅。再生までに5年…一家の歴史を興味深く聞きながら、トスカーナの夜は更けていきました。

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