盛岡タイムス Web News 2011年 7月 20日 (水)

       

■ 東電に補償請求へ 牧草の1番草使用不能の農家

     
  福島原発事故の影響で生じた損害賠償について県協議会を設立  
  福島原発事故の影響で生じた損害賠償について県協議会を設立  
  JAグループ東京電力原発事故農畜産物損害賠償県対策協議会が19日、設立された。協議会は福島原発事故の影響により放射性物質で汚染された牧草の代替飼料の費用、風評被害による価格下落など県内に生じた被害の補償を、東京電力に求める。各農協の代表からは、本県農畜産物の危機を訴える意見が出された。盛岡市大通1丁目の産ビルで設立総会を開き、JA県5連会長の田沼征彦氏を会長に選出した。

  協議会はJA新いわて、いわて中央、岩手中央酪、岩手畜産など7農協、県5連、農林中金などの役員ら20人で構成する。田沼会長はあいさつの中で、「発生した損害は東京電力にしっかり賠償してもらい、農家の経営を守りたい。これ以上被害が広がらないよう早期の収束を政府と東京電力に求めていきたい。豊かな自然と安全安心な食料生産に取り組んできた岩手を足下から崩す問題だ」と、強い危機感を訴えた。

  震災による福島原発事故の影響で、5月11日に県北西部、6月9日に県南部から暫定許容値を超える放射性物質が検出された。安全のため、県は牧草の利用自粛を要請し、遠野、一関、陸前高田、大槌、平泉、藤沢、滝沢の各市町村が該当した。このため自前の牧草を飼料に使えない畜産農家は、代替飼料を購入せざるを得なくなった。中央会の見積もりによると約6千dの代替飼料が必要という。

  損害賠償は、全国的に生産者団体の取りまとめに基づいて請求することになっており、県協議会は各JAなどを通じて損害賠償請求を一括し、東京電力に請求する。支払いは同協議会が受け取り、各JAを通じて被害農家に支払う。

  協議会では、原因について「福島原発の放射性物質を含む粉じんが降下して牧草に付着したと思われるが、詳しい要因については解析できていない。餌不足が生じ、代替飼料の確保、損害賠償の請求などが出てくる」などと現状説明があった。

  席上、JAいわい東酪農部の菅原初美会長が「酪農家にとって例を見ない危機的状況。一番草が使えないので仕方なく飼料を買って与えるが、自分の家の一番草のようには牛乳が出ず、乳量が減少する。協議会として賠償請求すると言っても、粗飼料を買うのに二の足を踏む農家もある。100万円の粗飼料を買うのに、100万円補償してもらえるのか。60万、70万円の補償しかもらえないというなら、あとの30万、40万は酪農家が負担するのか」と現場の苦悩を訴えた。

  協議会は被害農家の営農、生活継続のため事故発生時からの被害を1カ月単位で取りまとめて賠償請求する。賠償額確定の前に早急に仮払いを行うよう、東京電力や原子力損害賠償紛争審査会、政
府、各党に要請する方針。


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