盛岡タイムス Web News 2011年 7月 28日 (木)

       

■ 〈お父さん絵本です〉366 岩橋淳 ふしぎなガーデン

     
   
     
  知りたがりやの少年と庭、という副題のついた物語です。

  鉄道の廃線跡、と言えば、鬱蒼(うっそう)とした山奥を思い浮かべますが、大都会のど真ん中、地上からは見ることのできない高架線ということであれば、摩天楼上層のオフィスで仕事をしている訳ではないリーアム少年がそれまで見過ごしてしまっていたのも、仕方のないこと。その街は、立ち並ぶ煙突から黒煙がもくもくと吐き出され、ある意味発展を極めた工業都市の風情。

  かつて輸送の大動脈として縦横に張り巡らされた鉄道網は自動車輸送に取って代わられ、といったところでしょうか。打ち棄てられた鉄道施設は、頑丈な石積みの高架アーチが遺構としてさらされていて、それ以上の関心を示す人もなかったようです。

  ところが、この物語の主人公は「知りたがりや」。ある日、高架上への階段を見つけると、一気呵成(かせい)に駆け上がります。その目に飛び込んできたのは、朽ち果てた線路と、そこに一旦は根付いたものの、ひからび枯れかけた草木の茂み。リーアム君がテッちゃんだったなら線路の補修に奔走したのかもしれませんが、彼の関心は草木の方へ。時間と手間、丹精に丹精を重ね、赤茶けた遺構に、少しずつ、緑が芽吹きます。そして…?

  作者の住むニューヨークはマンハッタンで実際にあったという、ファンタジックな物語です。

  【今週の絵本】『ふしぎなガーデン』P・ブラウン/作、千葉茂樹/訳、ブロンズ新社/刊、1575円(2010年)。


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