盛岡タイムス Web News 2011年 8月 6日 (土)

       

■ 〈東日本大震災〉大槌の被災企業へ溶接機を無償で 小田島鉄工所「機械も喜ぶ」

     
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  紫波町上平沢の小田島鉄工所(小田島護社長)は3日、津波で被災した大槌町の山岸産業(山岸一社長)に、自社で使用していた溶接機2台を贈った。震災津波で機械を失った被災企業に無償で譲りたいという小田島社長の意向を受け、岩手銀行復興再生支援チームが贈呈先を仲介した。「何か役に立ちたいと思っていた。腕のある職人や企業をそのままにしておくわけにはいかない」と小田島社長(55)。山岸社長(51)は「贈られた機械と小田島さんとの新しい縁で、仕事の幅も広げていけそうだ」と感謝した。(馬場恵)

 金属金型加工などを手掛ける山岸産業は、大槌町吉里吉里にあった工場が津波で全壊した。敷地約1980平方b、築4年の新工場。関東圏に顧客を獲得し、事業拡大を図っていた矢先の災害だった。幸い、従業員、役員合わせて19人は全員無事だったが、フライス、切断機など20台近くあった機械は壊滅。現在は会社発祥地の同町大槌の第2工場で製造体制の復旧を目指す。同行から、小田島鉄工所が中古機械の無償譲渡先を探していることを聞き、手を挙げた。

  届けられた機械はティグ(TIG)溶接機など2台。小田島社長が溶接工として出発したとき先代社長の父親から初めて買ってもらった思い入れのある機械だ。請け負う工事の業態が変わり、最近は使っていなかったという。「被災地のために役立ちたいと思いつつ、何もできず、歯がゆい思いをしていた。使ってもらえれば、きっと機械も喜ぶ」と小田島社長。「困っている事業者は多いはず。できる範囲で息の長い支援を続けたい」と語った。

     
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  津波で全壊した山岸産業の第1工場(大槌町吉里吉里)=3月18日撮影、山岸産業提供  
  山岸産業は従業員のうち6人が内陸の企業などに転職。いつか、また全員そろって再出発したいという。事業復興の足がかりとして、太陽光パネルの製作など新分野参入も検討している山岸社長。「溶接機があれば、外注しようとしていた部分が自社でできるようになる。小田島さんと仕事の面でも協力していけそうだ」と喜んだ。

  社長夫人の千鶴子専務(52)も「生活支援が優先で、企業の復興支援には行政もなかなか手が回らない。被災した企業を思ってくれる気持ちが何よりうれしい。なかなか前に進めなかったが、道筋さえ見えれば、やっていく覚悟はある」と涙ぐんだ。小田島社長は同行の紹介で宮古市の事業者にも中古の切断機1台を贈った。

  同行の復興再生支援チームは審査部企業財務支援室内に5月に発足。被災した取り引き企業に対し、商材あっせんや販路紹介、財務支援アドバイスなどの支援活動に取り組む。
設備提供のマッチングは初のケース。「こうしたことがきっかけとなって企業同士がつながり、地域の復興にも結びついてくれれば」としている。

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