盛岡タイムス Web News 2011年 8月 8日 (月)

       

■ 〈東日本大震災〉被災地に大学生の力を 住田町にキャンプ、いわてGINGA−NET

     
  大勢の学生ボランティアの受け入れを前に、キャンプの運営について話し合う県立大VCの学生やNPOの関係者。「ボランティアは、あくまでも現場のニーズありき。人と人とをつなぐ役割を果たそう」  
 
大勢の学生ボランティアの受け入れを前に、キャンプの運営について話し合う県立大VCの学生やNPOの関係者。「ボランティアは、あくまでも現場のニーズありき。人と人とをつなぐ役割を果たそう」
 
  岩手県立大学学生ボランティアセンター(VC)とNPO法人、県社会福祉協議会などが協力し、被災地の支援ニーズと学生のボランティアニーズを結び付ける「いわてGINGA|NETプロジェクト」を展開している。住田町上有住の五葉地区公民館(旧五葉小学校)に、大学生ボランティアが宿泊できるキャンプを設置。キャンプから学生グループを被災地に派遣し、仮設住宅でのサロンの開設や子どもたちの学習支援などを実施する。9月までの開設期間内に全国104大学から約1300人の学生が参加する予定だ。(馬場恵)

 プロジェクトは県立大VCと、NPO法人さくらネット(兵庫県西宮市)、NPO法人ユースビジョン(京都市)、県社会福祉協議会が実行委員会を組織して立ち上げた。

  県立大VCがボランティア活動のプログラム開発やマッチング、宿泊のサポートを担当。阪神淡路大震災をきっかけに、災害に強いまちづくりや学生ボランティアの支援などに取り組んできた、さくらネットとユースビジョンが、学生ボランティアの募集、関西関東方面からの学生の送り出しを担う。先月27日にキャンプを開設。準備を整えて3日から一般学生の受け入れを開始した。

  9月20日まで、1週間単位で毎週90〜200人程度の大学生がキャンプを拠点に沿岸被災地で活動する計画。毎日、ミーティングや活動の振り返りも行い、ボランティアを通した学びを深める。

  学生たちの主な活動地域はキャンプから1時間以内で移動できる大槌町、釜石市、大船渡市、陸前高田市、住田町など。仮設住宅にサロンを開設して話し相手になる活動や、子どもたちの学習・遊びの支援、地域行事の開催支援などを予定している。

  3日からと10日からの各1週間は、試験期間とし80人程度の学生の受け入れにとどめているが、17日から5週間は毎週200人を超える学生が全国から集まることになる。キャンプを中心になって運営する県立大VCの学生らは、被災地のニーズにあったボランティアの計画をはじめ、食事や風呂の手配、参加者の健康管理の方法など打ち合わせを重ねて8月を迎えた。

  釜石市でボランティアを続けてきた県立大VCドナベネット代表の八重樫綾子さん(21)=社会福祉学部4年=は「長く被災地に通い、地域の環境の変化を見てきた。県内外に被災地に思いを寄せている多くの若者がいることを伝えたい。本当に悲しく、つらい思いをしている人たちは自分から声を上げることができない。それを代弁していくのも自分たちの役割だと思う」と話す。
     
  学生ボランティアの拠点となるキャンプが開設された住田町の五葉地区公民館  
 
学生ボランティアの拠点となるキャンプが開設された住田町の五葉地区公民館
 

  一緒に活動してきた松本唯美さん(21)=同4年=は「子どもや高齢者の支援のニーズを細かく見て支援活動を考えたい。ボランティアをきっかけに岩手を訪れた若い世代が再び、観光などで岩手に足を運ぶ流れも作っていければすてきだと思う」と語る。

  ユースビジョンのインターンとしてキャンプに入った龍谷大4年の横関つかささん(21)は「前例のない大震災で学生がどう行動するのかが問われていると思う。ボランティアを通して学生が社会を知り、参加することで社会も変わっていくと思う。自分の果たすべき役割をしっかり果たしていきたい」と気持ちを引き締めた。

  ユースビジョン代表の赤澤清孝さん(37)によると、阪神淡路大震災をきっかけに、関西地方では学生ボランティア活動のムーブメントが高まった。ユースビジョンも、こうした学生有志が立ち上げた学生ボランティアセンターが前身だ。東北地方でもボランティアへの関心の高まりを一過性にせず、地域や社会に根付かせていくことが期待されている。

  キャンプで学生の指導に当たる県立大社会福祉学部の山本克彦准教授は「学生たちは、ボランティアの体験を通して、コミュニケーションや地域をアセスメントする力を身に付けるはず。それぞれ自分たちの住む地域に戻ったあとも、地域への目の向け方が変わると思う」と成長を期待する。全国の大学を巻き込んだプロジェクトは「今後の災害時の『学生による災害支援モデル』にもなる」としている。

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