盛岡タイムス Web News 2011年 8月 20日 (土)

       

■ 〈お父さん絵本です〉368 岩橋淳 なつペンギン

     
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  毎日、暑いですねぇ。先日、動物園に足を運びましたが、かんかん照りの猿山に人影ならぬ猿影はなく、ホッキョクグマはお休み、うつむいたゴリラは沈思黙考の面を上げず、元気なのはコンドルだのラクダだの(元気…、ねぇ)。

  ペンギンという鳥は、よく見ると目つきがどこかコワかったりもしますが、総じて愛嬌(あいきょう)者で通っています。さて、本来寒冷地に生息しているかれらが、なぜ「夏」のイメージか?

  本作に登場のペンギンくん、唐突にニッポンの夏を、しかも動物園ならぬ街角で体験することになります。南極には居ないであろうセミの声に感じ入り、地元民代表・ニワトリと意見交換をするその様子がほほ笑ましいのですが、やがて涼を求めてスーパーへ歩を進めるあたりで、読者も心配になってきて…。

  案の定、鮮魚コーナーの冷蔵ケースに収まって、故郷を夢見るペンギンくんの憩いのひとときは、いとも簡単に破られてしまいます。ただし、過剰なドタバタにはならずに、あくまでほのぼの、のんびりと展開するのが、本作のいいところ。

  フィールドワーカー・塩野さんの、ペンギンくんに対する素朴な思いの丈と、動物を描いては独自の味を醸し出す作画者・村上さんの筆遣いが、絶妙のマッチングを見せています。

  【今週の絵本】『なつペンギン』塩野米松/作、村上康成/絵、ひかりのくに/刊、1680円(1995年)。

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