盛岡タイムス Web News 2011年 8月 23日 (火)

       

■ 〈イタリアンチロルの昼下がり〉129 及川彩子 元気の出る街づくり

     
   
     
  長いイタリアの夏のバカンスに、私たち家族は、毎夏のように2カ月ほど帰国していたのですが、今年は、長女の学校の行事で、2週間しか帰国できませんでした。

  短い期間に、あれもこれも…と慌しく過ぎた日本滞在でしたが、印象深かったのが宮古市訪問。盛岡の実家近くを走る山田線の「列車に乗りたいな」と言う娘たちの願いと、今回の東日本大震災の被災地を知ることで、イタリア人にも真実を伝えられるかもしれないと思ったからです。

  手作り弁当を持ち、ゴトゴト列車で3時間。宮古は、比較的被害が少ないと聞いてはいましたが、市内バスで巡ると、湾沿いに広がっていた住宅街は跡形もありません。

  がれきが撤去されていたせいか、迫ってくるのは、不気味な嵐の後の静けさ。けれども「どこから来たの」と、リュック姿の娘たちに声を掛けるおばさんたちの優しいまなざしは、やがて再生するであろう新しい町への希望に変わりつつあるようでした。

  「来年は宮古で泳ごうね」と娘たちと約束しつつ、後ろ髪をひかれる思いでイタリアへ。

  アジアゴのわが家に帰宅すると、塗り替えられたお隣さん宅の赤い壁にびっくり。白い家が真っ赤に変わっていたのです。

  民家の壁は白以外の色彩に…という昨年出された市の条例に従ってのこと。気が付くと、店もホテルも、緑の丘陵地に輝いていた白壁の家も、黄・緑・青・ピンクと次々の様変わりしているのでした〔写真〕。

  イタリアも少子化、高齢社会、政情不安…そんな諸々の不安を吹き飛ばそうと始まった町のカラフル政策。一昨年、白壁をさらに白く塗り替えたばかりのわが家も、近いうちに新しい色に変えなければなりません。

  難局に直面すると「服を着替えて気分も一新!」という陽気で前向きなイタリア人。カラフルな街並みの変化で、新しい環境・未来が開かれることでしょう。

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