盛岡タイムス Web News 2011年 8月 29日 (月)

       

■ 〈幸遊記〉34 照井顕 蔦村彰禧のおたるワイン

 「おたるワイン」のネーミングで知られる「北海道ワイン」のことを知ったのは、1982年3月20日号の「週刊宝石」に紹介された「北海道で本物のワイン造りに賭ける男の物語」を読んだのがきっかけだった。

  社長の嶌村彰禧(あきよし)さんは、その時54歳。今ではどこでも手に入る「おたるワイン」だが、創業当時は少量生産、52`gの免許しかなかったから「幻のワイン」と称されていた。それを取材した僕の友人カメラマン・朝倉俊博さんから電話があり、会社からさまざまなワインが箱で送られて来たのだった。

  以来、僕は気に入った「ナイヤガラ」という品種のワインを中心に、店で提供し続けてきた。飲んだ人が皆、口をそろえて言うのは「ウワー!おいしい!飲むというより、ブドウそのものを食べてるみたい!」それは、今も変わらない。

  当所数年間は、小樽?入りのワインを直送してもらっていたが、そのうち、陸前高田の酒屋さんでも仕入れることができるようになって、今はどこでも買える一流のトップメーカーにまでなった。

  僕はワインのことについては何も知らないが、当時は、干しブドウや、くずブドウ、混ぜものなどニセや即席が問題になった時代。ドイツ、オーストリー、ハンガリー、フランスなどのブドウ栽培者たちが、苗木は譲れないが、剪(せん)定して捨てた枝を拾って行くのは許す。と言ってくれた心を日本に持ち帰り、北海道に日本一大きなブドウ畑をつくったのだと言った。嶌村社長の言葉が今も浮かぶ。良質のブドウのみを絞って造った「小樽ワイン」。

  「天から与えられた存在が解かれば、次の時代へ残すものが見えて来るんです。そこで学んだものを展開してゆくのが人間でしょ。潔(いさぎよ)く貧乏して、なお堂々としている。楽しいもんなんです」と、語ってくれた1987年の社長の言葉を、僕自身、そのまま生きてきた様な気がする。

  ジョニーが節目、節目でのイベントやパーティーなどを開く時、「皆で飲んで下さい」と、今でも会社から絞りたてのワインがケースで届く。「ナイヤガラ」の滝のごとき心に感謝のカンパイ!
(開運橋のジョニー店主)


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