盛岡タイムス Web News 2011年 10月 2日 (日)

       

■ 被災者台帳をネットで包括管理へ 県呼びかけ8市町村参加決める

 県は、東日本大震災の被災者の生活再建を迅速に進めるため、り災状況や各種支援金の給付状況など、被災者個々の情報を一元的に包括管理する「県被災者台帳システム」の構築に取り組んでいる。京都大学防災研究所巨大災害研究センター、新潟大学災害・復興科学研究所など産学官によるプロジェクトチームが全面協力。県庁にサーバーを置き、希望する被災市町村がウェブのブラウザベースで活用する環境が整った。現在、宮古市や大槌町など沿岸7市町村と内陸1市がシステムへの参加を決め、被災者に関する情報を県に提供している。システムの理解と普及を図るため9月30日、プロジェクトチーム主催の成果報告会と技術検討会が開かれた。

 盛岡市内で開かれた報告会には自治体や企業の関係者、研究者ら約80人が参加。プロジェクトマネジャーを務める京都大学防災研究所の林春男教授は「被災者にかかわる情報を相互利用できる環境が整えば、個々の職員の努力が何倍も効果を発揮し、組織全体の可視化につながる。『一人の取り残しもない』生活再建を効果的に実現できる仕組み」とシステムの意義を説明した。

  被災者の生活再建の第一歩は「り災証明書」の発行。各市町村は住宅の被災程度を調査してデータベース化。住民基本台帳や課税台帳を参照して、誰がどこに住んでいてどんな被害を受けたのかを確定し、被災者台帳を作っている。その台帳をもとに義援金や支援金の給付、仮設住宅の建設が進み、介護保険・保育料の減免といった福祉的な支援、固定資産税の減免など税務上の支援なども行われる。

  しかし、被災自治体では、こうした多岐にわたる業務を各部局が情報をばらばらに管理して実施しているため、実態との不整合が生じ、受けられる支援策から漏れてしまう被災者も少なくない。このため、さまざまな部局で同時並行的に実施される生活再建支援業務を整理統合、個々の被災者の住所やり災状況、生活再建支援策などの情報を一元管理して可視化するシステムを考えた。

  システムでは、例えば「乳児のいる世帯」など支援業務の項目別や住所ごとに対象被災者を検索することが可能。地図情報も入力されているため、地域全体の被災状況を地図上に示された各戸のり災状況から把握することもできる。ばらばらだった情報を共有することで自治体業務の公正化、迅速化につながるという。

  ただ、膨大な個人情報をやり取りすることになるため、実施には個人情報保護審議会の承認が必要。プロジェクトチームは6月に県の審議会の承認を受け、各市町村の参画を呼び掛けてきた。システムが充実すれば、県独自に被災者を直接支援する事業にも活用したいとしている。

  県総合防災室の越野修三特命参事は「発災当初、避難所に避難している人は分かるが、在宅避難や親戚宅に避難している人の実態はつかめないなど被災者の全容把握に苦労した。行政の効率化を図ることが、被災者の生活再建のスピードアップにもつながる」と述べ、各市町村の協力を期待している。

本ページ掲載内容の無断転載を禁じます
ホームページに関するお問い合わせ、取材に関する情報は
E-Mail:hensyuu@morioka-times.com
盛岡タイムス宛てにお願いします