盛岡タイムス Web News 2011年 10月 2日 (日)

       

■ 〈詩人のポスト〉上斗米隆夫 ヤマセ

  ヤマセ
            上斗米 隆夫
 
海から吹き上げられ
岬を越えて流れる
霧に閉ざされて
日光は
タンポポまで届きません
 
サワサワと防風林は鳴り
遠くから
カッコーの声が聞こえてきます
 
霧の中で
時は止まり
道も林も深く沈んで
昼なのか
夕方なのか
それとも
遠い昔の
おぼろげな記憶の断片なのか
わからなくなり
 
校舎も教室の子どもたちも
母の胎内に在るもののように
密やかに息づきます
 
ひんやり濡れた沈黙のあと
また風が来て
 
ひと息に開けられた
カーテンの向こうから
 
六月の太陽
子どもたちの歌
カッコーの声

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