盛岡タイムス Web News 2011年 10月 4日 (火)

       

■ 〈イタリアンチロルの昼下がり〉132 イタリア版赤ちゃんポスト

     
   
     
  先日、わが家と親戚付き合いしているパガニン家族で、小学校教員のキアラから、結婚式の招待状が届きました。

  キアラは、もうすぐ50歳。だんなさんは弁護士で、高校生の息子と娘がいますが、まだ正式に結婚をしていなかったとは驚きです。

  「子育ても一段落したので、やっと式ができるわ」と笑うキアラに、親戚中がお祭りムード。イタリアは、敬虔なカトリックの国ですが、実生活には至って寛容。結婚より先に同居・子育てという例は珍しくありません。

  そんな中、赤ちゃんポスト「ルオータ」設置が広がりを見せているというニュースがありました。「ルオータ」は、イタリア語で回転扉の意味。中世以来の捨て子対策の一つでした。カトリック教会が婚外出産を違法とした16世紀、ルオータが急増したのです。

  その後、ファシズムの独裁者ムッソリーニの家族論により廃止されましたが、最近、移民の捨て子が社会問題になっていたのです。

  赤ちゃんが入れられるとセンサーが鳴り、すぐに医師が掛け付けるシステムの最新式ルオータ。ローマのある病院で初めて作動した時は、病院中が喜んだそうです。一方、養子希望者も年間数千人にも上るそうです。

  フィレンツェの町の中心部に、中世の佇まいを残す「捨て子養育院」があります。現在は、美術館兼ユニセフの施設ですが、入り口回廊には、布に巻かれた赤子のレリーフ、隅には、鉄格子が張られた回転扉跡。内部には、ボッティチェリの作品も飾られたルネサンス建築の観光スポット〔写真〕です。

  でも、カメラを向けると、やはり心が痛みます。

  日本でも、熊本市の病院でポストが設置された際、賛否両論が起こったと聞きました。イタリアでは、妊娠中絶を防ぐため、母親の養育義務放棄が認められているのです。

  キアラ夫妻の結婚式は、アフリカ難民の男の子2人を養子にしたキアラの弟サンドロが、式を盛り上げるに違いありません。


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