盛岡タイムス Web News 2011年 10月 19日 (水)

       

■ 東京電力担当者が来県、農協に謝罪 「賠償は年末」説明に出席者憤る

     
  頭を下げ謝罪する東電担当職員  
 
頭を下げ謝罪する東電担当職員
 
  東京電力は18日、本県に担当者を派遣し、盛岡市大通の産ビルで開かれた岩手県農協五連の役員会や県内各農協の畜産部門の部課長会議に出席して、農業に大きな被害を与えていることについて謝罪した。五連側は、東京電力に損害賠償を請求しているが、事故から7カ月を経過しているにもかかわらず、本県にはまだ支払われていない。東電側は、最初の支払いは年末を予定しその後3カ月ごとに支払いたいなどと説明したが、出席者から早急に行うよう強い声が挙がった。

  来県したのは福島原子力被災者支援対策本部の新妻常正副本部長、福島原子力補償相談室地域相談グループの紫藤英文部長、仙台市にある同相談室東北補償相談センターの小松日出夫所長、同センター相談第二グループマネージャーの古澤卓二部長の4人。

  新妻副本部長は「福島第一原発で大事故を起こし、大量の放射性物質を放出、国民、岩手県民の皆さんに多大な不安と心配を掛けていることにおわび申し上げる。特に農業関係の皆さんには稲わらに端を発し、肉用牛の問題、米の放射性物質に対する心配を掛けていることに本当に心よりおわび申し上げる。原発事故の終息に向け、会社の全勢力を傾けて取り組んでいる。私たちが目標としているのは放射線量をしっかり管理し、減らしていき年内の終息に向けて取り組んでいる」と謝罪した。

  損害賠償については「賠償は9月13日から支払いを開始している。公平、迅速に、そして丁寧に取り組んでまいりたい。JAいわてグループから牧草について請求が行われているが早急に支払いたい。今月請求を受ける肉牛に関しても迅速に対応してまいりたい」と述べた。

  農協五連の田沼征彦会長は「東電には強い憤りを感じている。県産牛の出荷制限、風評被害による枝肉価格の下落、畜産、酪農家を中心に大きなダメージを受けている。JAとしては被害を受けた生産者のために(損害額の)年内支給を前提に迅速な請求手続きを行っていき、農家のために少しでも前向きな姿勢を作り出していかなければならない。生産者は毎日苦しい日々を過ごしている、この痛々しい状況をあなたたちはどのような気持ちを持っているのか、申し訳ないだけの話ではない」と、全県の農家を代表して怒りをぶつけ、迅速な支払いを求めた。

  JAいわてグループ東京電力原発事故農畜産物損害対策岩手県協議会は、9月下旬に牧草被害として2900万円を請求している。牛肥育農家の被害については今月中に請求する予定で、11月は肥育に加えて廃用牛や子牛の被害について賠償請求し、以降は月単位で損害を請求する方針。今月の請求金額が確定するのは21日の予定という。

  各農協畜産担当の部課長会議では、出席した農協職員から請求の支払いを毎月求める意見があった。東電地域相談グループの紫藤部長は「まずは年末に支払いできるようにしたい。その後に3カ月おきの支払いを毎月にすることについては検討させてもらいたい」と語った。

  新岩手農協営農経済部の菅原敏栄部長代理は「今の説明で納得がいくわけがない。原発事故から7カ月経過しているが東京電力から損害の支払いは行われていない。出荷できずにいる農家も県内にはいるし、餌代はかさんでいく一方。3カ月に一度の支払いでは農家の生活は成り立たない。請求は毎月出していくのだから、支払いも同じように毎月するべきだ。誠意が感じられない」と不満を語っていた。

  出席した各農協の畜産関係の職員らからも「対応があまりにも遅すぎるし、誠意が感じられない。怒鳴りたい気持ちだが、それよりも農家への損害支払いをしてもらうことが先だと考えて、みんな抑えている」と話していた。


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