盛岡タイムス Web News 2011年 10月 24日 (月)

       

■ 〈大震災私記〉33 田村剛一 崩れた安全神話1

 3・11大震災は、津波で人命や財産を失っただけでなく、原発事故まで引き起こしてしまった。

  国民の多くは、原発の安全神話を信じていた。その原発が、水蒸気爆発を起こし、最も恐れる炉心溶解するメルトダウンまで引き起こした。放射能が外部にもれ、3号機付近では、一般人の年間被ばく量の400倍に当たる400_シーベルトの放射線量が観測された。原発から30`圏内住民は、屋内避難を命ぜられ、やがては移住させられることになる。この人たちが、再びふるさとに戻るのはいつのことか。

  私たちは、青森県六ケ所村に建設された核燃料再処理工場の本格操業に反対している。この工場は原発から出される使用済み核燃料を再処理して、ウランやプルトニウムを抽出、それを再利用しようとするもの。その際、大量の放射性物質を海や空に放出する。

  放射性物質が海に流されると、岩手県沿岸に流れ着く心配がある。そこで、私たちは「海に放射能を流さないで」という運動を行っている。沿岸住民の健康、三陸の漁業が心配だからだ。

  ところが、青森県や日本原燃は「放射性物質は微量で安全」の一点張り。それほど安全なら太平洋に流さないで、むつ湾に流したらどうですか、と青森県の関係者に詰め寄ったことがある。

  すると「それは岩手エゴだ。むつ湾に流したら濃縮して危険」と言って顔色を変えた。でも、おかしな話。むつ湾に流して駄目なものが、太平洋に流してよいはずがない。

  翌日の青森県の新聞に「これは岩手のエゴか」という小見出しで私の言葉が載った。

  今、私たち、豊かな三陸の海を守る会が、国に対し、海に放射能を流させない法律を制定するよう県下の市町村議会に請願活動を行っている。その結果、県下34市町村のうち、盛岡、釜石の両市を除いた32市町村議会で請願を採択してもらっている。後日盛岡・釜石両市に対しても引き続き請願活動を行うことにしているのでぜひ賛同してもらいたいものだ。

  日に日に、放射能汚染は拡大していった。東太平洋岸で唯一原発を持たない県が岩手。原発の安全神話が崩れたいま、岩手県民の動きが注目されていると言ってよい。
(山田町)


本ページ掲載内容の無断転載を禁じます
ホームページに関するお問い合わせ、取材に関する情報は
E-Mail:hensyuu@morioka-times.com
盛岡タイムス宛てにお願いします