盛岡タイムス Web News 2011年 10月 25日 (火)

       

■ オール地産清酒可能に 本県独自麹菌を開発、県と県酒造組合

     
  復興に向けた酒造りのため開発されたオリジナル麹菌「黎明平泉」とそれを使用した米麹(右)  
  復興に向けた酒造りのため開発されたオリジナル麹菌「黎明平泉」とそれを使用した米麹(右)  

 県工業技術センターと県酒造組合は岩手県のオリジナル麹菌「黎明平泉」を開発した。これまで本県には清酒造りに欠かせない県酒造好適米と県選抜酵母はあったもののオリジナルの麹菌はなかった。米、酵母、麹とすべて本県産の原料がそろったことで、震災復興を願ったオールいわての清酒が来春には県内の酒蔵15社から発売される。

  今回の震災で県内では酔仙酒造(陸前高田)、赤武酒造(大槌)、菱屋酒造店(宮古)の3つの酒蔵が全壊、内陸部の多数の酒蔵でもタンクや壁などが破損した。本県の清酒の出荷数量も3月は前年比で4割減少。以降は県外に対する出荷が増えたものの、さらに本県の復興を盛り上げるためにオールいわての清酒を造ろうとオリジナル麹菌の開発に6月から着手した。

  開発に当たっては同センターと同組合のほか、酒類総合研究所、秋田県の種麹屋「秋田今野商店」の技術提供を得た。同組合吟醸酒研究会による麹菌の選抜試験では、29種類の麹菌の中から香りや色などを吟味して本県の目指す酒に合うオリジナル麹菌2種類を選抜。この2種をブレンドして黎明平泉が完成した。

  名称には平泉の世界遺産登録を大震災からの復興に向けた新たなスタートの象徴として位置づけ、夜明けを迎えて一歩を踏み出す思いが込められた。黎明平泉は県酒造好適米「吟ぎんが」を使用し、県産米に合う麹菌という点を重視。うまみや甘みのバランスが良く、後味のスッキリした酒ができる特徴があるという。

  黎明平泉は今月末には各酒蔵に送られ、11月から製造が開始される。11年度は県内の酒蔵23社のうち15社から使用の要望がきている。県産の米、酵母、麹で造られた酒は、来春には発売される予定。詳しい発売の時期、統一名称にするか、シールを貼っての発売にするかなどは現在検討されている。

  同組合吟醸酒研究会会長で月の輪酒造店の横沢大造代表取締役は「震災直後、自粛といわれたが、自粛は復興に何も役に立たない。それぞれの立場で精いっぱい社会で活躍することで復興に大いに役立つ。日本酒は自粛の対象の典型だが、そうではないというムードが出てきて現在がある。継続的に飲んでもらうため、全国に誇れる酒造りをして全国展開したい」と意気込みを語った。

  同センター企画デザイン部の山口佑子主任専門研究員は「私たちもこれまでオリジナルの麹菌がないことはずっと引っかかっていた部分。これまでに出たいい酵母と組み合わさり、本当に岩手らしい、おいしいお酒ができることを期待したい」と話した。


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