盛岡タイムス Web News 2011年 11月 3日 (木)

       

■ 〈東日本大震災〉多くの絆が生んだ新メニュー 吉里吉里「よってったんせぇ」

     
  伊藤勝康シェフ(左)のアドバイスを受け、南部鉄器の鉄板で「吉里吉里鮭子焼きそば」を作る芳賀紀子さん(中)と笹谷ヒロ子さん  
  伊藤勝康シェフ(左)のアドバイスを受け、南部鉄器の鉄板で「吉里吉里鮭子焼きそば」を作る芳賀紀子さん(中)と笹谷ヒロ子さん  
  大槌町吉里吉里の女性グループ・マリンマザーズきりきり(笹谷ヒロ子代表)の仮設店舗「よってったんせぇ」(同町吉里吉里2丁目)に10月31日、三陸産の鮭とイクラを使った新メニュー「吉里吉里鮭子(おやこ)焼きそば」がお目見えした。レシピの創作に奥州市前沢区のフランス料理店ロレオールのオーナーシェフ伊藤勝康さん(48)が協力。焼きそばを炒める南部鉄器の鉄板は及源鋳造(奥州市)と厨房器具メーカーのタニコー(東京都)が無償支援した。沿岸地域の復興を願う多くの人の絆から生まれた地産地消メニュー。「吉里吉里の新たな名物に」と期待を込める。

  鮭子焼きそばは、県産小麦を使った麺で知られる山田町釜揚げ屋の「わかめ麺」を使用。鮭とタマネギ、キャベツを加え、オリーブオイルをからめて勢いよく炒める。味付けは宮古の塩とコンブパウダー。南部鉄器で香ばしく焼かれた鮭とイクラのトッピングが食欲をそそる。

  お披露目となった31日は町役場や漁協の関係者も来店。漁師の岡谷勇さん(50)は「おいしいよ。イクラは白いご飯にかけて食べるだけだったが、麺にもけっこう合う」、店の常連という沢館正美さん(62)も「メニューの種類が増えていいね。頑張ってもらいたい」とエールを送った。

  マリンマザーズきりきりは震災前、茎ワカメを使った手作り加工品の販売で地域おこしに一役買っていた。津波で商品製造の拠点だった、おおつち郷土資源創造センターは流失。笹谷さん(68)らは自宅も流されたが、吉里吉里に、にぎわいを取り戻すきっかけを作ろうと8月、有志6人でプレハブの店舗をオープンさせた。ラーメンやカレーのほか、地場野菜や加工品を販売。店のウッドデッキは地域の人やボランティアが集う憩いの場となっている。
     
  「吉里吉里鮭焼きそば」を味わう客でにぎわう店  
 
「吉里吉里鮭焼きそば」を味わう客でにぎわう店
 

  さらに人を呼び込む名物を作ろうと、開店当時から店を応援している伊藤シェフと相談。地元漁場の復興への願いも込め新メニューを開発した。「南部鉄器の鉄板は焼き上がりがまったく違う」と伊藤シェフも太鼓判。大槌町への鮭の水揚げが復活すれば、地元産で調理したいという。

  「無我夢中でここまできた。皆さんに食べてもらえるとうれしい」と笹谷さん。メンバーの芳賀カンナさん(43)は「みんなを元気づけたいと始めた店だが、逆にみんなが応援に寄ってくれる。ここでしか食べられないメニューを作っていきたい」と張り切る。高橋浩進副町長も「食べ物による町おこしは復興への大きなパワーになる」と期待していた。

  鮭子焼きそばは3月までの冬期限定。一人前700円。

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