盛岡タイムス Web News 2011年 11月 8日 (火)

       

■ 自然の威力、減殺の知恵 いわて三陸ジオパーク

 本県の地質遺産などを見どころとする「ジオパーク」(自然公園)の構築を図る「いわて三陸ジオパーク」構想。県は東日本大震災を踏まえ、地震・津波の被災と復興をテーマにしたジオパークの認定を目指し、取り組みを推進する方針だ。津波で崩れた防潮堤など被災遺構も活用し、自然の威力や減災の知恵を後生に伝える。震災以後、認定に向けた準備作業は中断していたが、復興に役立てるためにも2013年度内の日本ジオパーク認定を目指し、作業を進めるとしている。

  盛岡市内で4日開かれたいわて三陸ジオパーク推進協議会学術専門部会(部会長・豊島正幸県立大総合政策学部教授、委員7人)では、東日本大震災を踏まえたジオパークを構築する方針を確認し、沿岸市町村に被災遺構の保存意向などを調査することを決めた。この日の会議では「ジオサイト」(ジオパークの見どころ)となり得る、高田松原の一本松(陸前高田市)、田老の防潮堤(宮古市)など被災遺構候補18カ所が挙げられ、保存状況や住民感情を踏まえた活用の在り方などについて意見を交わした。

  地質・地形的に評価の高い三陸海岸と北上山地をエリアとする「いわて三陸ジオパーク構想」は学識経験者による研究会を経て、今年2月に沿岸市町村や国、県などで構成する推進組織「いわて三陸ジオパーク推進協議会」が設立された。しかし、3月11日に大震災津波が発生し、主な活動を休止していた。

  被災地ではがれきの撤去作業や復旧工事が進む。震災遺構を保存するためには早期にジオパークの意義の浸透を図り、市町村や住民の協力を得ることが求められる。震災遺構の管理方法やその費用、遺構について説明できる住民ガイドの養成など課題も多い。

  学術専門部会では沿岸市町村などにアンケートを実施。その結果も踏まえ、推進協議会の12年度の活動再開を目指す。ジオパークのエリアについても当初の本県沿岸13市町村から八戸市や気仙沼市を含めたエリアに拡大することを検討する。

  ジオパークへの理解を図るため、県などは25日、「いわて三陸ジオパーク震災復興シンポジウム」を盛岡市のアイーナで開く。日本ジオパーク委員会の尾池和夫委員長が基調講演するほか、三陸鉄道を勝手に応援する会会長の草野悟氏や雲仙普賢岳噴火災害からの復興に関わった杉本伸一氏(第5回ジオパーク国際ユネスコ会議事務局長)が事例発表する。

  ■ジオパーク

  地球活動の遺産を主な見どころとする自然公園。地球の地史や地質現象が分かる地質遺産のほか、考古学や生態学、文化的な視点から価値のあるサイト(見どころ)を含んだエリアで構成される。独立行政法人産業技術総合研究所地質調査総合センターに事務局を置く日本ジオパーク委員会(JGC)の審査を経て「日本ジオパーク」に認定される。さらにユネスコが支援する世界ジオパーク・ネットワーク(GGN)の審査で認められれば「世界ジオパーク」に認定される。

  ジオパークは自然災害も重要なテーマ。洞爺湖有珠山、島原半島、伊豆大島など火山災害をテーマにしたジオパークの取り組みで防災教育を推進している地域も多い。

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