盛岡タイムス Web News 2011年 11月 24日 (木)

       

■ 陸前高田市の広報を電子保存 盛岡大学学生が作業に協力

     
  県立図書館に所蔵されていた「広報りくぜんたかた」の電子データ化に取り組む盛岡大学の学生ら  
  県立図書館に所蔵されていた「広報りくぜんたかた」の電子データ化に取り組む盛岡大学の学生ら  
  東日本大震災津波前に発行された陸前高田市の「広報りくぜんたかた」を電子データ化する作業が、盛岡大学(望月善次学長)で図書館司書課程を学ぶ学生たちも参加しボランティアで進められている。被災地の地域資料の電子データ化に取り組む山梨県笛吹市のNPO法人地域資料デジタル化研究会(小林是綱理事長)の活動に同大学が協力した。貴重な地域資料の多くが失われた中で、手軽に古里の歩みを振り返ることができるツールになればと願う。

  陸前高田市は市庁舎や市立図書館も津波にのまれ、壊滅的な状態となった。行政情報や地域の話題を定期的に掲載した広報は、市のこれまでの歩みを知る貴重な資料だが、市立図書館が所蔵していたものは泥水に浸かり、特にアート紙が使われている近年発行のものは復旧困難だった。広報の性格上、過去の冊子を保存している家庭は少ない。このため、同研究会が、被災した図書館から回収した広報と県立図書館(盛岡市)に保存されていた広報をもとに、電子データ化し、検索機能付きで贈呈することを申し出た。

  同広報は当初月1回の発行だったが、94年5月からは月2回発行。毎号6ページ前後の構成。写真入りで赤ちゃんとその親を紹介したコーナーなどもあり、思い出の写真を流出した市民にとっては貴重な財産となる。同研究会の小林理事長は3月まで県立図書館の指定管理者総括責任者で震災後、被災した県内各地の図書館を訪ね歩き、できる支援を考えた。

  県立図書館には一部欠けている号があるものの、紙媒体で1973年4月号から2010年までの「広報りくぜんたかた」が保存されている。このうち盛岡大学の学生は、88年1月1日号から2010年までの広報を、電子データ化する作業を担う。1ページずつスキャナーでパソコンに取り込み、整理番号を付しながら保存していく。

  同大文学部英語文化学科の千錫烈准教授が窓口となり、学生ボランティアを募ったところ1年生から4年生まで32人が協力することになった。

  20日、県立図書館内で始まった作業では、同研究会の日向良和理事(都留文科大講師)が学生たちに、地域資料を電子データ化して残す意義を説明。同研究会が用意したスキャナーとパソコンで作業手順を確認した。

  盛岡大学文学部3年の村田ますみさん(21)は「陸前高田市出身の友達がいる。被災地に行って手伝うことができなかったので、今できることがあれば手伝いたい」、同3年の竹村満里奈さん(21)も「授業でデジタルアーカイブについて学んだ。学んだことが体験でき、ボランティアにもなるのなら一生懸命やりたい」と話す。

  図書館司書を目指す同大文学部3年の金勇司さん(21)は「次世代に見やすい資料を残す作業に加わることは、自分にとってもいい体験になる」と意欲を燃やしていた。

  作業は来月18日まで土、日曜に学生たちが交代で実施する。同研究会の事務局のある山梨県笛吹市では、被災した図書館から回収した広報の泥を落とし、電子データ化する作業が同時進行しており、完成したデータはハードディスクに保存し陸前高田市に寄贈する。

  日向理事は「広報のような身近なものでも地域の文化や歴史を後世に伝える貴重な資料になり得る。代えのきかない大事な資料のバックアップを取り、複数の場所にデータを残しておくことは今後の災害に備える上でも重要だ」と語る。千准教授は「学生たちも積極的に参加してくれた。学んだ知識を生かして沿岸被災地のお役に立てれば」と話していた。

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