盛岡タイムス Web News 2012年 1月 4日 (水)

       

■ 〈幸遊記〉52 照井顕 やなせたかしの天使のうたごえ

 アンパンマンや三越デパートの包装紙デザインなどで知られる、やなせたかしさん(93)の記念館が、彼の出身地である高知県香美市にできたのは1996年の夏。その直前の春3月、陸前高田の大町商店街が開設していた「まちかどギャラリー・おおまち」で彼の原画展が開催され、たくさんの親子でにぎわった。

  その企画を持ち込んだのは、当時陸前高田市立小友小学校の校長だった鈴木明氏。彼はやなせさん原作のアニメ映画「やさしいライオン」に魅せられ、転勤の都度、学校や地域の公民館で自ら16_映写機を回し、その物語を子と親と教師たちに見せ続けていた人で、僕のCD「潮騒の森」に「海の灯の思い出」を作詞し提供してくれた。

  「やさしいライオン」は親を亡くした赤ん坊のライオンが、子を亡くした親犬に育てられる物語で、愛情いっぱいに育てられたライオンは、その愛を支えに苦難を乗り越えて生きていくという子育ての原点が描かれていた。

  そのやなせさんは、陸前高田市出身の編集者・平松利津子さんから3・11の津波で消えた「高田松原」や、一本残った松の木の話を聞き心動かされ、自ら作詞・作曲し「陸前高田の松の木」というCDを制作。「ぼくらは生きる、負けずに生きる、生きて行くんだ、オーオーオー」と自らもコーラス参加し陸前高田市へプレゼント。

  さらに1868年の創業以来、対面販売の御用聞きの伝統を守り続けて、このしょうゆでなければという人と家庭に直接届けてきた「ヤマニ醤油」の話に感動し、「天使のしょうゆ」と命名し、自らそのラベルを描き四代目・新沼茂幸さん(54)にプレゼント。

  そのラベルの天使たるや何ともかわいいのだ。ヤマニのマークをティアラのように頭に乗っけて「しょうゆさし」を持って飛ぶ笑顔の天使。大震災で被災してから花巻市東和町の同業会社「佐々長醸造」の蔵と設備を借り、無事だった社員全員が一丸となって復興仕込みを行い試作を造り、その後「天使のしょうゆ」「ほんつゆ」「上級醤油」の主力商品を復活させ、ず〜っとお得意さんだった!僕にも届けてくれました。「やっぱりおいしいね!」。
  (開運橋のジョニー店主)


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