盛岡タイムス Web News 2012年 1月 4日 (水)

       

■ 〈東日本大震災〉「山田のカキはなくせない」

     
  耳吊りしたホタテの半成貝を船で運び出す養殖漁業者(山田町大沢漁港)  
  耳吊りしたホタテの半成貝を船で運び出す養殖漁業者(山田町大沢漁港)  
  全国有数の生食用殻付きカキの生産地だった山田町の大沢漁港。昨年12月、三陸やまだ漁業協同組合大沢支所の牡蠣(カキ)・ホタテ養殖組合のメンバー約70人が、東日本大震災津波の爪跡が残る共同作業場で、養殖ホタテの「耳吊(つ)り」作業に追われていた。

  7aほどの半成貝は北海道苫前町から入荷。貝のつけ根に機械で穴を開け、1本15bほどのロープにピンで次々とくくりつけていく。1本当たり130〜140枚のホタテがつるされたロープはかごに手早く回収され、船で沖に運ばれる。きりりと冷え込んだ朝。油断していると、せっかくつるした貝が凍って死んでしまう。

  共同作業場は津波で外枠だけ残った加工場を補修して急ごしらえした。冷えた外気が容赦なく流れ込む。数台のまきストーブで暖を取りながら、作業はもくもくと進んだ。

  山田町は震災前、生食用殻付きカキの生産量日本一を誇る産地だった。ホタテは、そのカキに並ぶ主力生産品だ。海が荒れると半成貝の入荷はストップするため、天候を見ながらホタテが入荷する日は、その作業を優先する。

  大沢地区は養殖いかだ約1600台のうち約1300台が流された。漁港を取り囲むように並んでいた作業小屋や加工場、漁業者の家もことごとく流失。組合員16人が命を落とした。

  希望になったのは、からまったロープに残ったわずかなカキだ。波にもまれ、激しくぶつかり破損した養殖施設は、すべて破棄される予定だったが「山田のカキをなくすわけにはいかない」と残ったものを回収。湾内に戻した。その後、漁協単位の復興支援も決まり、855台の養殖いかだを設置し直すことができた。
     
  津波の爪痕も生々しい共同作業場で、ホタテの耳吊り作業に励む大沢地区の牡蠣・ホタテ養殖組合のメンバー  
  津波の爪痕も生々しい共同作業場で、ホタテの耳吊り作業に励む大沢地区の牡蠣・ホタテ養殖組合のメンバー  

  数は震災前の半分。これまでは組合員にいかだを割り当て、それぞれのやり方で動いていたものを、しばらくは共同作業で進めなければならない。意見がぶつかり合うこともある。それでも、目の前に養殖いかだが並ぶ光景は漁業者はもちろん、地域の人にとっても大きな励みだ。

  昨年10月から生き残ったカキを加熱加工用のむき身カキとして東京方面に出荷し始めた。殺菌処理が必要な殻付きカキの出荷は、施設が復興せず、まだ難しいが、「2、3年後には再び日本一の殻付きカキを」と意気が上がる。ホタテの耳吊り作業も2月頭まで続く。お盆ごろには出荷できる見通しという。

  佐々木功吉組合長(68)は「漁場が広くなった分、いいものが育つはず。手をかけて育て、ホタテは大沢の花嫁として、カキは花婿として送り出したい」と意気込む。
(馬場恵)

  ■牡蠣・ホタテ復興プロジェクトに参加を

  三陸やまだ漁業協同組合大沢支所では養殖漁業者を支援する「牡蠣・ホタテ復興プロジェクト」を展開している。復興支援金とホタテ20枚のセットで1口1万円。申込者には今年の秋ごろにホタテ20枚を送る。申し込みは住所、氏名、電話番号、口数を記載したものをFAXで送付。その後、組合から振り込み先などを知らせる。ファクス番号0193-82-4003、問い合わせは漁協担当・細川さん(電話080-1806-9616)


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