盛岡タイムス Web News 2012年 1月 16日 (月)

       

■ 〈大震災私記〉94 田村剛一 電気・水道の遅れ

 3月末には、私より上の方では、電気も水道も復旧した。家が残っていて、電気も水道も使えないのは、まわりでは、私の地区ぐらいのもの。

  東北電力の社員が時々近くに来て、電柱や電線を眺めていたので、電気の復旧工事がいよいよ始まるか、と期待したのだが、なかなか工事に着手しない。

  「田村さん、あんた、電力会社ににらまれているんじゃないの」そんなことまで言う人が出てきた。私が原発反対の運動をしていると思い込んでいる人だ。

  もし、そうだとしたら、何の関係もない人たちに迷惑をかけていることになる。それで、すぐに役場へ行き、電気を早く通してくれるよう頼んだ。すると町職員は「それは、住民が直接電力会社に頼みなさい」ときた。全く頼りにならぬ職員だ。

  すぐに東北電力に電話を入れると「トランスのある電柱の周りの家が片付かないと、電気を通すわけにはいかない」との答弁。つまり周りの家の解体、撤去が済まないと電気の復旧工事にかかれないというのだ。

  確かにと思った。私の隣の前にあった電柱はくの字に折れて、それが私の家の屋根に倒れかかっていた。そこから、電線が私の家の玄関前まで垂れ下っていた。それに電気を通したら漏電の心配もあるし、感電の心配もある。

  それにしても、あちこちの電柱が倒れたり途中で折れたり。津波の猛威を物語るものと思って折れ目をのぞいて見たら、中は空洞であった。コンクリート柱だとばかり思っていたら、そうではなかった。電柱がすぐに折れたり、倒れたりしたのは、その辺に原因があったのだろう。住宅地では、私の地区が最も遅く電気が通った。震災から約1カ月後だったが、それでもまだ遅いところがあった。近くの寺は私たちの家よりも遅れた。

  水道の遅れた原因も電気と同じようなものだった。地区ごとに分岐栓がある。それを開けると、地区全体に水が流れる。もし、一部でも不備があれば、そこから漏水しかねない。一軒ごとの元栓の点検は、がれきが撤去され、元栓の場所が確認できなければ、不可能なことであった。だから、水道も遅れたのだ。

  「田村さんは役場や電力会社に注文ばかりつけるので、にらまれていると思い心配しましたよ」

  私の説明を聞いて、地区の人たちは納得したようだったが、町なり電力会社が早く説明してくれていれば、誤解を受けないで済んだのにと悔まれて仕方なかった。
(山田町)


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