盛岡タイムス Web News 2012年 1月 22日 (日)

       

■ 〈東日本大震災〉被災小学校の児童と盛岡市立高の生徒、手紙で交流

     
  船越小の6年生からのメッセージやイラストを見せ合い喜ぶ盛岡市立高英語科の3年生  
  船越小の6年生からのメッセージやイラストを見せ合い喜ぶ盛岡市立高英語科の3年生  
  「東日本大震災津波の被災者のために」と米国から届いた支援金がきっかけとなり、盛岡市立高校(高橋隆校長、生徒886人)英語科の3年生が、山田町立船越小学校(佐々木道雄校長、児童158人)の6年生と手紙のやり取りを通して交流した。卒業を控えた盛岡の高校生と山田の小学生。互いが励まし合い、それぞれ学ぶことがあったようだ。

  盛岡市立高校では17日、英語科の3年生らがLL教室に集まり、冬休み中に船越小の6年生から届いた手紙に目を通した。

  「介護職員として頑張って下さい。わたしも応援します」「パティシエになれるよう専門学校でたくさん勉強してください」「私も外国に行ったりして勉強したいです。これからもおたがいに頑張っていきましょう」-。一人ひとりの背中を押すようなメッセージに笑顔が広がった。

  交流のきっかけは昨年8月、盛岡市立高校英語科の猪苗代智子教諭(52)に米国から届いた一通のメール。送り主は2010年3月、同科の語学研修で、猪苗代教諭がホームステイしたワシントン州レイシーのチャールズ・ダウニーさん。東日本大震災津波の被災者のため、仲間に呼び掛けて集めた支援金約4万円を「必要な人に届けてほしい」ということだった。猪苗代教諭は知人の船越小の坂下大輔教諭(27)に相談。同校が受け取り先に決まった。

  船越湾に面した船越小は、校舎2階まで津波が押し寄せた。幸い児童全員が避難して無事だったが、校舎は新築しなければならず、現在も山田町船越の陸中海岸青少年の家を間借りして学習している。

  同校は、ダウニーさんからの支援金で、運動会に使う万国旗を制作するための布を購入。昨年10月、児童たちは「がんばっぺし山田」などとスローガンを入れた自作の万国旗の下、運動会を楽しんだ。
     
  盛岡市立高英語科の3年生から届いた手紙を広げる船越小の6年生  
  盛岡市立高英語科の3年生から届いた手紙を広げる船越小の6年生  

  6年生がダウニーさんに礼状を書く際、協力したのが市立高校英語科の3年生21人だ。6年生の児童の代表10人がしたためた感謝の言葉を、外国人英語指導講師のエリザベス・ワシントンさんの助言も得て英訳。児童の礼状は昨年12月、高校生の英訳と共にダウニーさんのもとへ送られた。

  「せっかく、つながりが持てたのだから」と、高校生は英訳を船越小に送る際、児童へのエールを込め、自分の夢や目標を手紙にして同封。これを受け取った船越小の6年生も、高校生に感謝と励ましの手紙を書いた。

  船越小6年の大畑優美南さんは「先輩方からアドバイスをもらえてうれしかった。手紙にはありがとうという気持ちを込めた」と話す。

  同6年の内沢京滋君は「運動会では競技や係の仕事を一生懸命やった。みんなが応援してくれているんだなと思うとちょっとうれしかった」と振り返った。

  一方、盛岡市立高3年の滝山希さんは「船越小から送られてきた震災当時の写真は衝撃的だった。つらいことも多いと思うけれど、子どもたちは前向きで元気。強いなあと尊敬してしまう」。

  同3年の福島剛太君は「他の人の書いた手紙を英訳するのは難しかったけれど、いい経験になった。ボランティアとして少しでも役立てたのならうれしい。1日も早く復興し小学生たちが自分の将来の夢に向かっていけるようになってほしい」と願った。

  小学生へ手紙を送る活動には、震災で山田高校から市立高校普通科に転校した伊藤和也君(3年)も参加した。看護師を目指し大学進学が決まった伊藤君は地域医療を支えたい、という目標や小学生のころ、地元スポーツ少年団で熱心に活動した思い出をつづった。

  伊藤君の手紙を読んだ金濱智紗都さん(同小6年)は「夢があってうらやましい。自分は運動が苦手だけど、苦手なことでも、やってみようかなと思った」。伊藤君へ宛てた手紙には「夢は看護師なんですね。すてきです。(中略)多くの人の役に立ちたいという思い、わすれないで心に灯し続けてください」と書いた。

  船越小には震災後、多くの支援物資やメッセージが届いた。坂下教諭は「今回は一人ひとりに宛てた手紙が届き、盛岡の高校の様子も伝えてもらったのでいい刺激になったと思う。支援されるのが当たり前と思うことなく、感謝の気持ちを持って恩返しできる子になってほしい」という。

  猪苗代教諭は「高校生も英語はコミュニケーションを広げるために学ぶのだと改めて意識したはず」とそれぞれの成長を期待していた。
(馬場恵)
 

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