盛岡タイムス Web News 2012年 1月 24日 (火)

       

■ 〈イタリアンチロルの昼下がり〉140 及川彩子 ニョーモの森

     
   
     
  近年イタリアでは、「パワースポット」巡りが旅行者の人気を集めています。パワースポットは、霊場や聖地など、大地の力がみなぎる特別なスポットのことで、「スピリチュアルスポット」とも呼ばれます。

  日本の恐山や熊野三山詣のように、霊場や聖地から、精霊の力を得るための祈願所を訪ねる旅です。

  イタリアのスポットは、ローマの万神殿、ミケランジェロ設計の「パンテオン」、南イタリアのギリシャ神殿「パエストゥム」、イタリア中部アッシジの聖人フランチェスコを祀(まつ)る教会、そして北アルプスの「ヴァルモニカ渓谷」の岩絵群の4カ所が有名です。

  中でもヴァルモニカは、山麓の川沿い70`の岩に1万年前の農耕図、8千年後のローマ時代のアルファベットの線刻画などが刻まれています。その数14万点。人類に歴史を語り継ぐ岩としてイタリアで最も早く世界遺産に登録されました。

  人々を癒やす空気、水、大地…自然信仰以上に、そこに住む人々の歴史そのものの「再生力」が、イタリアのパワースポットの特徴のようです。

  私の住む、ここアジアゴのパワースポットは、アルプスの裾野に広がる「ニョーモの棲む森」です。ニョーモは森の精霊。「地に棲む者」の意味で、「火・風・水・地」の4元素を精霊化した妖精です。

  枕元に幸福の砂を撒(ま)きに来る優しいニョーモ、いたずらっ子を小人にする怖いニョーモなど、さまざまな伝説が語り継がれてきました。森林浴も、本来はニョーモ探しの一つなのです。

  アジアゴの土産店に並ぶさまざまな姿をしたニョーモたちは、各家庭の守り神〔写真〕。彼らは、この町のシンボルとして、家庭用品から衣類の絵柄にもなっているのです。

  癒やしを求めるスポット巡りで「何を感じるか」は、やはり身近にあるものへの愛着から始まるようです。 

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