盛岡タイムス Web News 2012年 3月 5日 (月)

       

■ 〈大震災私記〉130 田村剛一 仮設住宅4

 仮設住宅の建設は急ピッチで進み、5月中に町民グラウンド、長崎地区商工会付近など4カ所174戸が完成した。その抽選会が5月25日に行われ、その結果が当選者に連絡され、6月1日から入居が始まった。

  ところが、抽選が終わり、入居者が決定すると、抽選もれした人たちから不満の声が吹き出した。

  不満の声の一つは、町長が好きな人から入れたというもの。これは、絶対あり得ないことだが、ある面では不満の出るのも分かる。

  抽選の際には、避難所から代表者が立ち合ったようだが、くじを引いたのは町長、そんなところから、変なうわさが立ったのだ。町長以外の人がくじを引けば、そんなうわさも出なかったろう。

  不満の声は別なところにもあった。入居希望者を2つの枠に分け募集した。「優先枠」と「一般枠」。ところが、仮設住宅に係わる説明は避難所のみで行われ、そのため在宅避難者などには伝わらなかった。私も大規模半壊で入居の資格はあったが、その説明は全く聞いていない。私の得る情報は役場ロビーに張られる張り紙。そこに置かれている印刷物によるしかなかった。それと、外部の第三者、それで手続きが遅れた人も。

  「私は優先枠なのに当たらない」。そう不満をもつ人たちが続々出てきた。中には「職員に頼まなければ駄目なようです」と言う人まで。

  実は優先枠に希望者が殺到していたようだ。応募要項によると、75歳以上の老人のいる世帯、障害者、要介護者、乳幼児または妊婦のいる世帯に当てはまる方を優先的に入居させる、としていた。それで、多くの人たちは、それに当てはまるので優先的に入居できると思い込んでしまうのだ。

  係に聞くと、優先枠4割、一般枠6割で希望を取ったという。ところが、少ない枠の優先枠に希望者が殺到。それもそのはず、山田の世帯を考えると「優先枠」に当てはまる世帯の方が一般枠より多いからだ。

  私の地区(後楽町1区)で大規模半壊以上の被害を受けた世帯は15家族、そのうち75歳以上の人を含む世帯は8家族、これだけでも5割を超す。それに障害を持つ人、心臓手術で退院したばかりの人を含めると10家族になる。他の地区も同じだろう。それなのに、優先枠に4割しか当てていないとは、全く理解に苦しむ。

  一般枠の方が枠として広いから、若くて健康な人の入居率が高くなったので「裏の手」があると思われてしまったのだ。

  2回以降は、この枠を取りはずしたようだが、不満はいっこうに消えなかった。くじである以上はずれることはある。でも、丁寧に説明していれば、行政不信も起きなかったろうに。
  (山田町)



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