盛岡タイムス Web News 2012年 3月 10日 (土)

       

■ 〈昆虫パワーをあなたにも〉21 鈴木幸一 岩手バイオリングの中の桑産業

 オランダのフードバレーは注目すべきです。農業・食品・健康に関する情報と研究拠点が集積し、農業が国家の重要な産業になっています。いわゆるオランダでは農業に希望と未来があります。

  わが国の農業論争はさておき、岩手県の地図を目の前にしています。北上川流域にはものづくりの産業が集中していますが、その両側には北上山脈と奥羽山脈が走り、北上川流域を中心として輪(リング)を形成しています。北上山脈と奥羽山脈では、生物相や気候がまるで異なり、農業生物(バイオ)産業にも大きな特徴があります。

  例えば、久慈を中心としたヤマブドウ産業、八幡平ではリンドウ産業、西和賀の山菜を中心たした産業、釜石の甲子柿をベースとした産業、県南に残っている養蚕業というように、バイオ関連の産業がリング状に形成されるのでないかと考えてみました。

  これに加えて、北上山脈は沿岸地域におけるサケ類・海藻も加わった水産バイオ産業も包含することになり、岩手バイオリングとは、ひょっとしたら、オランダのフードバレーを凌ぎオリジナルなバイオ産業を醸成する土壌と素材があるのではないかという構想です。

  そこで、岩手バイオリング構想に、昆虫関連の桑産業を重ねてみます。北上川流域沿いでは、桑産業の元祖となっている北上市の(株)更木ふるさと興社による桑茶や桑パウダー製品、同じく北上市にある(株)イーストの新事業としてスタートした桑関連化粧品、トヨタマ健康食品(株)はとうとう平泉町中尊寺の眼下に工場を設立し、新製品を開発しています。

  この3社が北上川流域の桑産業の屋台骨となりながら、バイオリングのひとつとして洋野町(株)ミナミ食品が、桑パウダーと「ゆば」に桑パウダーを入れた商品開発をはじめました。現在いくつかの企業が、バイオリングを構成するかのように桑ならびに昆虫関連産業を目指しています。

  間もなく3・11の日です。1年前のこの日は、北は八戸市から南は南相馬市までの桑産業関係者が岩手大学に集まり、「東北桑ベルト構想」の立ち上げの日でした。1万9130人(2月29日付)の犠牲者の方々からいただいたテーマは、岩手発の不老長寿の妙薬である「桑食文化」を全国に発信し、わが国の大きな負担となっている国民医療費を10兆円削減すれば、その半分は震災復興へもう半分は次世代の子どもの教育へと回すことができるという高雅なものです。

(岩手大学地域連携推進センター長)


本ページ掲載内容の無断転載を禁じます
ホームページに関するお問い合わせ、取材に関する情報は
E-Mail:hensyuu@morioka-times.com
盛岡タイムス宛てにお願いします