盛岡タイムス Web News 2012年 3月 18日 (日)

       

■ 〈詩人のポスト〉斎藤駿一郎 熱いココア

   熱いココア

           斉藤駿一郎  
 
姉が亡くなった
友も逝った
みんな老いていく
 
姉がくれたマグカップに
妻のいれてくれたココア
啜る
 
溢れてくる白い雲のように
三月の薄青い空に溶けていく
かやかやとした少年の頃の思い出
献花・励まし・寄り添い生きた
きょうだいで姉の口に紅をひく
未だ果てしない夢をみているような姉
 
「姉さん自分の死んだこと分かっているんだべか」
と妹
 
姉が亡くなって
友がいなくなって
みんな老いていく
 
未だ冷たい雪の日々
やりきれない心の底を
雪の下を流れる春の小川の音を
僕は息をひそめて聞いていた
 
もう何も言うまい
間もなく姉の好きだった水仙の花も咲くだろう
友が咲くのを待っていた
梅も木マンサクも希望を広げるだろう
 
ココアの熱かったこと…


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