盛岡タイムス Web News 2012年 3月 20日 (火)

       

■ 〈イタリアンチロルの昼下がり〉144 及川彩子 せっけんあれこれ

     
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  イタリア人の入浴に欠かせないのが、スキューマという液体石鹸。湯船にお湯を入れる際、蛇口から流れ出るお湯に数滴のスキューマを垂らすと、見る見る泡でいっぱいになります。

  家族交代で、温まりながら入る日本式の風呂とは違い、一人ずつ、湯船の泡の中で体を洗った後、シャワーですすぎ、1回ごとにお湯を流し捨てます。

  長年のイタリア暮らしですが、日本式風呂を使う我が家では、スキューマ代わりに、また洗濯にも、イタリア産オリーブ油を原料にした緑の固形石鹸が欠かせません〔写真〕。

  「石鹸」の誕生は、紀元前の古代ローマ時代。サポーと言う丘の神殿で、生贄の羊を焼いた油と木灰から、偶然、石鹸の効果が発見されました。イタリア語のサポーネ(石鹸)の語源とも言われます。

  その後改良が進み、12世紀にオリーブ油の固形石鹸が誕生、地中海貿易で栄えたイタリアの港町ジェノヴァや隣町サボーナが生産地となりました。その地名サボーナからシャボン(石鹸)と呼ばれるようになったのです。

  幼い頃、盛岡の実家近くの北上川沿いで、「洗濯に使うんだよ」と祖母に教わり、サイカチの実を拾った記憶があります。

  イタリアの友人宅に、牧草地を流れる小川で、暖炉の灰で洗濯する古い写真が飾ってあります。時代と共に、変わっていく生活のスタイル…。

  この正月休みに訪れたモロッコの山沿いの町で、独特の石鹸に出会いました。ヤギが木に登って実を食べるという、モロッコ特有のアルガンの木。その実から採れる油の石鹸です。これが高級品として、近年、急速に世界の注目を浴びていると聞きました。

  山合いの間の作業場で、石臼で、アルガンの実の油を絞る娘たち。仏語・英語と並んで「美肌に効果大」と日本語で書かれた観光客用ポスターが時代を反映しているようでした。

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