盛岡タイムス Web News 2012年 3月 22日 (木)

       

■ 〈夜空に夢見る星めぐり〉303 八木淳一郎 盛岡と太陽

     
  都南分庁舎に設置された太陽光パネル  
 
都南分庁舎に設置された太陽光パネル
 
  だいぶ前から、太陽熱を利用してお湯を沸かしたり、太陽電池を使った車のレースなどで耳目を集めながら、太陽の持つエネルギーをもっと活用すべきではないかとの取り組みが一部で行われてきました。

  そして、福島の原子力発電所の大変な事故をきっかけに、社会をあげて本格的に太陽のエネルギーを活用しようという気運が盛り上がってきています。

  これは未来をしっかりと築き上げていくためにも重要なことであり、そのためには太陽がどんな天体であるのかを知っておく必要があります。太陽の光と熱の恵みによって人類は育まれてきました。

  しかし、地球や生命のために生まれてきた訳ではなく、いつも同じような振る舞いをするという保証はありません。つい先日も太陽の爆発によって通信や人工衛星、GPSなどへの被害が心配されました。幸い今回は小規模なものであったため、美しいオーロラが普段よりも多く出現したにとどまりました。

  一方、11年周期で見られる太陽活動が予想された年になっても静まったままで3年をオーバーし、小氷河期の到来が懸念されています。どうやらここにきて太陽活動が戻りつつあるような兆しが、黒点数の増加という形で見られるようになってきたようですが…。

  そんなことからも太陽を常時観測し、知識や情報の積み上げを怠ることはできません。市民も子どもたちも、太陽への関心を深めていくことは実に大切なことと申せましょう。

  太陽と地球は約1億5千万`離れています。大きさを比較しますと、直径が地球は太陽の109分の1です。太陽の放つエネルギーは1分間に約6×(10の27乗)カロリーと計算されていますが、地球は遠くにあってしかもちっぽけですから、その20億分の1しか受け取っていません。

  しかも、せっかく地球にやってきたエネルギーの半分は大気で吸収されたり跳ね返ってしまいます。この太陽の莫大なエネルギーを何とか効率良く取り出せる方法はないか、さまざま考えていく必要があります。

  そしてまた、太陽の素顔を見て知っておくことは、盛岡の市民や子どもたちには別に必要のないこと、そんなことは先進都市の人たちや大学や研究機関に任せておけばいいという考えは、多くの先人を輩出し、そのことを誇りにしている当地にふさわしくはありません。

  さらには世界的なILCの誘致といったすごいことを盛岡の経済界の方々が打ち出されたとお聞きします。それならばなおのこと、盛岡が他に負けない科学教育への取り組みをしている都市であることをアピールしていきたいものです。

  また、市庁舎の屋上への太陽電池パネルが取り付けられ、小中学生の関心を集めているとのことです。

  太陽がどんな星なのかを学ぶ施設の必要性は緊急性の有無うんぬんではなく、当然のこととして考えていくのが盛岡のプライドというものです。盛岡の子どもたちの中から未来の人類を救う者を一人でも多く輩出する−その可能性を目指すことが真の誇りと郷土愛に連なるものであり、教育と行政の真骨頂でしょう。
(盛岡天文同好会会員)

本ページ掲載内容の無断転載を禁じます
ホームページに関するお問い合わせ、取材に関する情報は
E-Mail:hensyuu@morioka-times.com
盛岡タイムス宛てにお願いします