盛岡タイムス Web News 2012年 3月 25日 (日)

       

■ 〈大震災私記〉144 田村剛一 防災教育4

 岐阜の友人から新茶が送られてきた。1`入りの袋が2袋。わが家では1年間ももつ量である。

  岐阜がお茶の産地とは知らなかった。差出人の住所は、岐阜県揖斐川町とある。揖斐川とくれば木曽川となる。この木曽川と揖斐川に囲まれた地域が、有名な輪中地帯である。低湿地帯で集落は洪水から家を守るために高床式だ。そんなこともあり、輪中地帯は茶の生産に向かないと思っていた。中に長い手紙が入っていた。

  「新聞やテレビでは、あの美しかった風光明媚(めいび)な三陸の海が、大津波で激変した惨状が連日報道されてきました。

  そんな中で最近では、被災地の人々が復旧に向けて、協力して取り組んでおられる姿。とりわけ子どもたちの元気な動き、笑顔が映し出されほっとしています。

  ご当地、山田町の小学校、中学校、高校、そして避難所や公民館が映し出されますと、新緑の山々と小・中・高生の元気な笑顔に接し、希望がわき、田村君の古里が身近に迫ってきます。

  昨夜(21日)もNHKニュースで、山田湾で流出したカキ養殖の復旧に残った種ガキで、養殖イカダが組まれ、沖合に設置されたニュースがありました…。

  同封した品は、当地の特産品の“煎茶”です。今年5月の一番茶の刈り下を加工した新茶です。商標に“揖斐茶”として販売されています。かつての全日本サッカー監督、イビチャ・オシムさんの名前を借り、販売しました。当時はオシムさんの人気で効果があったようです。一度味わってみてください…」。

  この友人は、学生時代を金沢で過ごした仲間。長い間、岐阜県の高校教員として教壇に立ち、最後に校長で退職。退職後は、お里の教育長として教育一筋に生きた男。平教員として終わった私とは経歴が違う。それでも、こうして私のこと、あるいは私のお里山田のことを忘れないで、心にかけてくれているのだ。それにしても子どものことに言及するとは、さすがに教育者である。

  学生時代の同期生は17人。そのうち4人は亡くなり、13人で退職後、毎年集まっている。5年前、この友人の幹事で長良川温泉に泊まり、鵜飼いを見物した。私にとって、初めての長良川の鵜飼い。たいまつの火に照らされる鵜飼いの風景。神事のように厳粛な行事に思えた。その翌年、黒部に集まった。
  その時、この会も2年おきに実施することにし、今年は金沢。「その次あたり、三陸にしよう」となった。その時の幹事は私。でも今回の大津波で、果たして同期会が三陸で開催できるかどうか、心配である。
  それにしても友人とはありがたいもの。オシム監督をしのびながらイビチャで喉を潤している。
(山田町)

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