盛岡タイムス Web News 2012年4月 2日 (月)

       

■ 〈幸遊記〉65 照井顕 「松田宰の一期一会ワイン」

 先日、盛岡でワインバー「アッカトーネ」を経営しているソムリエの松田宰さん(44)が「開運橋のジョニー」にやって来た。

  話によると「3月いっぱいで入居しているビルが取り壊しになるので、すぐ近くの所に4月9日、新しく店をオープンすることにしました」と笑顔。まったくご無沙汰の僕に対し、彼は時折店に、彼特有の笑顔を見せにやって来る。

  彼が僕の店・陸前高田時代のジョニーにやって来たのは20歳ぐらいの時だった。その日、僕は自分の実家に行く用事があって、そのまま彼を車に乗せて平泉に行った記憶。

  以来すっかり僕も彼も互いにファン。盛岡や陸前高田のホテルレストランで働き、ワインに興味を持ち、かつてはワインの街大迫に住み、ヨーロッパの国々に渡りワイン醸造所で働きながら、ワインを体得する形で学んで来た本物のソムリエ。2011年、オーストリアのワインコンテストで銀賞になった事もその一つの証。今年(2012)6月のワインフェスタにも招待されていると言う。

  かつて国内外の旅先からはよく手紙が届いた。その手紙にはいつも工夫が凝らされ、読む前から心が弾んだ。「眠れない夜は少しだけ大人になります。眠れないのはきっと、素敵な予感のせいです」とか「ジョニーさんに書く手紙は、自分宛ての手紙でもあります」「僕は過去の記憶の断片をたどりながら、日々歩んでいます。過去の記憶の集結こそが僕にとっての未来であるからです」などの手紙文が頭に浮かぶ。

  1995〜97年、僕は小さな新聞の編集をしてた。その時コラム欄に何度か原稿を書いてもらった事がある。その時の文「日本の食卓に、ご飯と味噌汁とお新香があるように、西洋ではパンとワインとチーズがあります」とそれぞれには、それぞれを引き立てる役割があり、それが生まれた背景やそれを作っている人々の心までを食事の時の風景として頂く。あるいは提供する。それこそが“うらのないおもてなし”の心だと僕は彼から学んだ。

  中の橋「アッカトーネ」は自分。上の橋「敲太郎」は父。遠野「カーゴカルト」は眼輝。と全てに彼の心が息づく。
(開運橋のジョニー店主)

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