盛岡タイムス Web News 2012年4月 3日 (火)

       

■ 〈夜空に夢見る星めぐり〉304 八木淳一郎 「未来を見つめる!」

 自転しながら絶え間なく太陽の回りを巡る地球。これに合わせるように、時計の針が回り、カレンダーの日付も進んでいきます。もっとも、時計は今やデジタルの時代。海の満ち干や身体の鼓動などのリズムにも似て、針を動かすことやカレンダーをめくる行為は人間的ですが、デジタルの世界は人間からかけ離れたものの感じがします。世の中一般に、進歩というものがデジタルやIT化と切り離せないものならば、人間の方がいつの間にか改造され始めているのではないでしょうか。年金の横領、電力など基幹産業の経営陣の横暴、政治家たちの権力抗争。

  かつては1年に数件しかなかったような殺人事件が1日に数件も起きるなど、これみな人間改造に伴う現象なのでしょうか。これはまた、一人の人間が成長過程で反抗期を迎え、“ぐれ”てみたり犯罪をおかしたりするような、いっときの嵐なのでしょうか。国家の中枢の立場を利用して権力や富を支配したり、国民の大切なエネルギーを独占して私利私欲をむさぼる“地位”の高い人たちですが、どうにもしたたかで小賢しい悪ガキたちが背広を着ているだけ、と見えるのは単に錯覚でしょうか。

  何しろ、かつて占領軍のマッカーサー司令長官が、この国には大人がいない、と述べたとかで、気掛かりではあります。人間のデジタル化、IT化が進む過渡期での言わば“産みの苦しみ”から、いつ解き放たれるのでしょう。未来のそのころの地球はどうなっているでしょう。

  宇宙誕生からの150億年を1年間に縮めた宇宙カレンダーに従えば、人類の文明が始まったのは12月31日午後11時59分51秒を過ぎたあたりからです。この9秒間あまりのところで、人類は天文学の知見を広げ、宇宙観を培ってきました。

  そして、自分たちがどこからやってきてどこへ行こうとしているのかを知ろうとするまでに成長しました。その中で、星の輝きが核融合によるものであるとする天文学上の一大発見が、核爆弾の製造に利用されたつらいエピソードがあります。

  そこに今度はいや応なしにデジタルやITの歴史の幕開けです。この先よほど注意すべき事は、地面や足元ばかりを見つめているようでは、ますます権力の掌握や私腹を肥やすことに長けた、他人を踏み台にする抜け目のない人間ばかり、はびこりはしないか、ということです。

  宇宙カレンダーも新しい年を迎える時がきました。新年の2月になるのか3月なのかはともかく、やがて地球が最期を迎えるその日まで、目を輝かせ、息をはずませながら、あるいはため息をつき、涙を浮かべながらも、空を、星を見つめる人が一人でも多くいてほしいものです。
(盛岡天文同好会会員)

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