盛岡タイムス Web News 2012年4月 3日 (火)

       

■ 〈イタリアンチロルの昼下がり〉145 及川彩子 復活祭の菓子・コロンバ

     
   
     
  本格的な春の到来を告げる復活祭の季節がやってきました。十字架にかけられたキリストが、3日後に復活したことを祝う復活祭は、カトリックの国では、クリスマス同様、最も重要な行事です。

  日本では、「イースター」という英語圏の呼び方をしますが、語源は春の女神オイステル。キリストの復活に、春の到来・生命の息吹を見立てた祭りです。

  一方、ギリシャ、イタリア、フランスなどでは、「パスクワ」が正式名称。ユダヤ教の過ぎ越しの祭り「パスハ」に由来しています。

  古代エジプトで、奴隷の民だったユダヤ教徒が、モーゼを先頭にエジプト脱出を遂げた日、神は死を運ぶ天使を、ユダヤ人の家を通り越して、エジプト民家に遣わしました。

  その伝説「過ぎ越しの祭り」を、ユダヤ教徒は、キリストの復活祭と同時期に、祝っていたのです。

  パスクワは「春分最初の満月の日曜日」という移動祝日。その前後、1週間は学校もお休み。遠方の親戚たちも帰郷し、大家族そろって過ごす「春休み」なのです。

  だんらんの食卓には、復活の象徴である卵料理、神にささげる子羊の料理など。宗教上、冬のカーニバル以降、慎みの期間として禁じられていた動物性食品が、ふんだんに並びます。

  食事の後は、「コロンバ」と言う鳩型のケーキが主役。ノアの箱舟伝説で、洪水が引き地上が現れたことを告げる鳩は平和のシンボル。

  ドルチェ(ケーキ)と言っても、コロンバは大型パンの一種。発酵生地を、木の実や砂糖などで飾っただけの焼き菓子で、見た目も素朴。「これだけは100年も前から変わらない味よ」と近所のイタリア人が言うように、飽きのこない、しっとりとした甘さのパンケーキです〔写真〕。

  「コロンバ」として販売できるのは、法律で定められた製法によるものだけ。伝統の価値は大きいようです。

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