盛岡タイムス Web News 2012年4月 4日 (水)

       

■ 復興の旅路へいわてDC1(インタビュー) 佐藤義正県観光協会理事長

     
  いわてDCについて語る佐藤理事長  
 
いわてDCについて語る佐藤理事長
 
  1日から始まったいわてデスティネーションキャンペーン(DC)。その展望や期待、課題を関係者にシリーズで聞く。初回は県観光協会の佐藤義正理事長。佐藤理事長は盛岡市繋の湯守ホテル大観会長で、いわてDC推進協議会では副会長を務める。本県観光は長引く不況や度重なる震災のため厳しい状況が続いてきた。平泉の世界遺産登録とDCを追い風に、復興する岩手の文化と自然を、全国に発信する。(敬称略)

  −32年ぶりの本県単独DCで、震災の風評被害は克服できるか。

  佐藤 DCは久しぶりで大変期待している。沿岸部はともかく内陸の方にはかなりお客さんが戻りつつある。心配なのは福島の原発事故による被害で、関東以西のお客様の足が遠のいている。だから地震前の状況に100%戻るのはまだ少し時間がかかる。

  −どれくらいのキャンペーン効果を期待できるか。

  佐藤 落ち込んでいる中、JR6社が全国的に岩手に集客しようと一大キャンペーンを張ってくれるのは、タイムリーでありがたい。JRが本腰を入れている。この間、東京の秋葉原に行ったら「いわてDC」のポスターが目立つところに一番大きく張ってあった。あれが都内の主要駅に張られていたら、相当のお客様に知られる。全国でJRが頑張り、旅行会社各社が声掛けすれば、かなりの効果が期待できる。まだシーズンに入らないが、4月下旬のゴールデンウイーク以降の予約に相当、DC効果が表れるだろう。

  −三陸の観光復興が大きな課題となる。

  佐藤 平泉と掛けた2次交通を整えたり、JRと旅行会社が作る商品で田野畑のサッパ船を売り込むなどできるだけ被災地を実際に見てもらい、交流人口を増やす企画をやってもらいたい。

  −平泉の世界遺産登録をどう生かすか。

  佐藤 現状は平泉へのお客さんは増えているが、期間が短く、県内の他の観光地に立ち寄る状況にはなっていない。たまたま今度のDCでは平泉が目玉になると思うが、平泉自体も今のブームが終わってしまうと、先細りになってしまう心配がある。県内の主要観光地を2泊3日くらいの行程で見てもらうような状況を作れるかどうかが一番の課題だ。

  広島では安芸の宮島と原爆ドームに欧米の観光客が増えている。宮島の文化遺産はモンサンミッシェルと提携しているので、フランスからの観光客が増えている。

  −やはりストーリーが必要か。

  佐藤 平泉も盛岡まで足を延ばしてもらうには、安倍一族とのストーリーをPRするのが良いのではないか。いずれ今回はチャンス。昨年の平泉の世界遺産登録、今年のDC、東北観光博、六魂祭と東北に目が向き、誘客効果がある。それらのイベントが終わったら、単発で終わりだったことにはしたくない。本当に千載一遇のチャンスなので、来年も再来年もずっと続くようにしたい。

  やはり県民の皆さんと温かくお迎えする気持ちを伝えるのが大事。根本は観光業者の努力次第。県も今回は相当の予算を取ってくれた。JRが頑張って、県や市町村の観光協会も頑張っているが、限界がある。あとはお客様の高い評価を得られるかどうかは、観光事業者のもてなしによる。

  値段と価値をお客様がどう判断するか、相当しっかりした商品を提供しなければいけない。DCはきっかけ作り。それにわれわれがどのくらい呼応できて頑張ってお客さんの満足度を高められるか。その部分は行政や観光協会の問題ではなく、個々の事業者の問題。きっかけを与えてもらったので、それを活用してわれわれが今後どう生かしていくかがすべて。来年の観光シーズンにつながるかどうかはわれわれ次第。顧客満足度を高められるかどうか。ここを先途と頑張って、この機を逸したら元に戻ってしまうという危機感を持ってやらないと駄目だ。

  もともとわれわれにはハンデがある。九州沖縄には首都圏や関西圏からダブルトラッキングで飛行機が飛んでいるが、われわれのところには競争原理があまり働いていないので、割高になってる。岩手と沖縄や北海道を比べてどうか、九州と岩手県を比べてどうかという問題をさておいても、交通費では断然負けている。お客さんが価値観を感じるために、交通費の割高な部分をカバーできるくらい良いものを提供しなければ。そうでないと、今後の観光地間競争に伍(ご)していけない。
  (鎌田大介)

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