盛岡タイムス Web News 2012年4月 5日 (木)

       

■ 〈日々つれづれ〉115 三浦勲夫 英語学習の目的と手段

 英語学習人口は実に多い。英語の実用性、世界的通用性が主な理由であろう。他の外国語の場合、通用性はある程度限られる。英語を母語としない人同士でも英語で互いの意思疎通を図ることができる。大方の日本人の場合、日本語を母語とし、英語を外国語として習い、これで世界中の英語が分かる人たちと会話ができる。さらに別の外国語を習えば、英語からでは分からないその言語圏の文化や歴史を知ることができる。

  英語学習の場または手段も実にさまざまである。義務教育、中等・高等教育以外では、@英会話教室、A読書会、Bカルチャー・スクール、公開講座、C英語留学、Dメディアの英語講座、ECDやDVDの活用、Fネット英語学習|などがある。

  それでは学習者はどのような目的で英語を学ぶのか。先にあげた英語の世界通用性も含めて考える。進学の場合を除けば、@趣味や好奇心、A生きがい、B忘れかけた英語の回復、C仕事や研究、D頭の健康、E広い人間交流|などである。さらに学ぶ英語分野は関心によって次のようになる。@会話、A読解、B作文、C聴解、Dそれらの総合。

  受験生の場合は英文法、読解、作文、リスニングの力が試されるのでそこに努力を集中する。それ以外の人たち、特に年配者は、受験英語の息苦しさを離れて、楽しめる英語、特に話したり、聞いたりする力を磨こうとする傾向がある。音声による受信と発信だが、しかしそれも音声からだけの学習ではやがて上達の限界にぶつかる。キャブラリーと文法の基礎があれば音声言語も効果的に学習できるから、その面の勉強も必要になる。

  指導者はボキャブラリー、文法、読解、作文、聴力、会話の力を十分に備えていること、また話題や背景知識も豊かであれば理想的である。そのような学習会では、会員が個人学習にも励み、仲間同士の切磋琢磨(せっさたくま)を行う。うちとけた交流会での意見交換もある。指導者も切磋琢磨の輪になじむ必要がある。切磋琢磨の例は、学習者の英語検定試験とかスピーチ発表の力と内容とかである。学習事項の中にスピーチ発表があれば、内容を発展させる会話へと学習が広がる。指導者(司会者)は話の方向をリードする。それが好ましい形式の一つである。読解に特化する読書会は別だが、一般的な学習会の学習内容は文字と音声の両面から総合化されることが望ましい。

  「日本人でも英語をこれだけ読み、聞いて理解できる。これだけ書き、話して意見を伝えられる」という限界を上へ押し上げていく。焦らず、継続すればその人の英語力は必ず発展するし、学ぶ楽しみが増え
る。

  私も英語を学び始めた時代を思い出す。This is a book. という文をどう読むのか?Thisの発音と意味が分かり、「ブック」という英語つづりが分かった時の不思議な感動。映画を見てWhere are you going? が聞き取れた時の感動。文法書を一冊読み終えた中学3年の初め。教師になってからも、30代で英会話学校に行き、その後、英国に長期留学し、英国文化の環境で暮らした。同時に英会話を進めるには「着想」や「構想」が大事なことも痛感した。日本語でも英語でも、文を書いて考えることである。
  (前回の当欄で、「君が代」の作曲を1800年としたのは1880年でした)
  (岩手大学名誉教授・元放送大学客員教授)

本ページ掲載内容の無断転載を禁じます
ホームページに関するお問い合わせ、取材に関する情報は
E-Mail:hensyuu@morioka-times.com
盛岡タイムス宛てにお願いします