盛岡タイムス Web News 2012年4月 8日 (日)

       

■ 〈詩人のポスト〉 藤野なほ子 早春の空

かすれた空に雪が舞う
冬枯れの心にしみこむように
行きつく先など まだ遠いとばかりに
白い破片を一面にまき散らして
荒れ狂っていく
 
何時になっても
これで良いということはない
復興は少しずつ先へ先へと逃げて
期待も思いこみもはてしないのに
時は足早に過ぎていく
 
あれからもう一年
 
震災で流れ去った街や村の映像が映る
ただ遠く何もない地面だけが続いて
時折りかすれる
空の向こうちらちらする生きていた暮し
賑わいの中を通っていく人達
波の間にもうめぐり逢うことのない人達
叶びたい
だが声にはならない
かすれた中に浮遊するあおざめた魂
 
一瞬
とぎれた雲のあい間から
さしてくる薄陽は意外に強い
 
かわりやすい空の間に
過去が舞い 未来がのぞき
足どりも重く 凍った土の中で
伸びようとじっとひそむ 縁の芽達は
雪が消える空を 待っている


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