盛岡タイムス Web News 2012年4月 10日 (火)

       

■ 地域の災害特性理解を 盛岡地方気象台に着任の北川貞之新台長に聞く

     
  「的確な情報を引き続き発信したい」と決意を語る北川貞之新台長  
 
「的確な情報を引き続き発信したい」と決意を語る
北川貞之新台長
 
  盛岡地方気象台の新台長に北川貞之氏(53)が4月、着任した。3月まで政府の地震調査委員会事務局を務めた。専門は火山学で霧島連山の新燃岳噴火時は内閣府で対応に当たった。「日本は至るところで災害を抱えている。自分たちの住んでいる地域がどういう(災害の)特性を持っているか理解し、付き合っていくかが大事」と持論を語る。東日本大震災津波で被災した本県で、50代前半で起用された新台長の手腕に期待がかかる。話を聞いた。 (大崎真士)

  昨年3月11日の巨大地震に伴う津波被害については「多くの方が亡くなられ、行方不明になった。それでも三陸の方たちの(災害への)意識は高かったと私自身は思う。よその地域ではまだまだ低い。それでも大きな被害が出たのは、今後研究の必要がある」との認識を示した。

  三陸は巨大地震以来、余震活動が続き、3・11以前の状態に戻っていない。沿岸の湾口はそれぞ れ特徴があり、津波被害も違った。市町村や港湾別の情報提供について「望ましいと思うが、科学の水準がそこまで達していない」と理解を求めた。

  沿岸住民の高台移転に関しては「海で生活の糧を得ている人に、海から離れなさいと言うのは無茶苦茶な話だと個人的には思っている」と持論を語る。

  「がけ崩れや洪水のあるところ、火山噴火が頻繁なところ。日本では至るところで災害を抱えている。(個別の災害特性と)どう付き合っていくかが大事」。災害履歴を次世代へどう継承し、発生時にどう対応し、それを地域にどう根付かせるか。防災教育にも協力していく考え。

  本県では1998年の岩手山火山活動活発化を契機に産学官連携組織ができ、活動している。「情報共有するのはすごく大事。電話連絡する時も相手を知っていると非公式なことでも伝えられたりする。非常に素晴らしいこと」と評価する。

  一方、「活発化から15年がたち、その意識が薄れていくのは心配。既存の組織にかかわらず、市民を巻き込んでいくことを進める必要がある」と説く。

  巨大地震後の火山活動との関連を指摘する研究者もいる。専門家の立場から「もともと(地震前から)噴火準備をしている火山があると、地震の影響でその後活発になる気がする。それも10年後、30年後といった時間間隔だ。活火山の周囲に住んでいる場合は気を付ける必要があるということ」と主張した。

  小学校入学前からバイオリンを続け、大学卒業前に「プロになるのか公務員になるのか」と迫られた腕前。今も演奏会に助っ人で出演したり、室内楽グループを作って演奏したりする。卓球は中学時代から出身の三重県で2位、高校時代は東海大会などの出場経験も。アマチュア無線にも精通し、多趣味だ。

  【略歴】京都大工学部出身。1986年気象庁入庁。気象研究所地震火山研究部、内閣官房内閣情報調査室などを歴任。07年本庁地震火山部火山課火山対策官、09年から文科省研究開発局地震調査管理官。松阪市出身。

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