盛岡タイムス Web News 2012年4月 21日 (土)

       

■ 〈舗石の足音〉400 藤村孝一 「のど自慢は短距離走だ」

 3月18日だったと思うが、平成23年度の「NHKのど自慢チャンピオン大会」が放送された。

  審査員は、秋元康(作詞家)、伊戸のりお(編曲家)、宮本笑里(バイオリニスト)、つのだりょうこ(歌手)、弦哲也(作曲家)、井ノ原快彦(タレント)、古谷太郎(NHKエンターテイメント番組部部長)であった。

  司会は徳田章アナウンサー、ゲスト歌手は、氷川きよしと香西かおり。
  出場者は北海道から沖縄までの代表と、台湾の代表で、15組17人。

  歌われた曲は次の通り。
  ポップス系は、「アンマー」「言えないよ」「CLOSE YOUR EYES」「SORA〜この声が届くまで」「トイレの神様」「ペッパー警部」「みんな空の下」。

  演歌系は、「ありがとう……感謝」「祝い酒」「男の人生」「感謝状〜母へのメッセージ」「暖簾」「はぐれ舟」「遺らずの雨」「羅生門」。

  出演者は各地の「のど自慢」でチャンピオンになり、さらに絞られた15組だから皆うまいのだろうが、平成23年度の結果は次の通りであった。

  優秀賞は鹿児島県出水市の自衛官原田誠さんとブエノスアイレス(出場は沖縄大会)の音楽学校生、仲宗根グランシエラ・ベロニカさん。

  グランドチャンピオン(優勝)は大阪府熊取町の高校2年生、徳永優樹さん。「はぐれ舟」。
  徳永さんは、若くて声が伸びやかで、つやと潤いがあり、細かい「小節(こぶし)」も効いていた。歌詞の意味と得も言われぬ情感が伝わってきた。しかも、プロの歌手のような崩し、作り過ぎもなかった。聴いていて気持ちがよく、何度も聴きたいと思った。

  徳永さんが他の14組より優れていると判断されたのだろうが、7人の審査員の中で直接演歌に関係するのは弦哲也と伊戸のりおだけである。だから、演歌関係の審査員の数で演歌が有利だったとは言えないだろう。

  しかし、ポップス系の曲より演歌の方が有利だと思う。それは「演奏時間」の短さに関係する。出場者の持ち時間は1人2分〜2分30秒であった。ポップス特に現在のポップスの曲は歌詞が非常に長い。多くの言葉を詰め込んでいる。メロディーもあまり魅力的でなく変化も少ない。

  「トイレの神様」を歌った若い女性がいたが、選曲ミスだと思う。これは約9分の曲全部を歌って初めて思いが伝わるので、2分30秒では足りない。演歌は比較的短い曲の中に「語る部分」「歌う部分」「サビ」ありで、思いを込めやすい。演歌の徳永さんでさえ「はぐれ舟」の1番全部と3番の後半だけを歌った。「のど自慢」は短距離走だと思う。

  また、「のど自慢」ではたいてい1人または2人で歌う。ある意味で古い。Jポップは5人以上10数名で歌うことが多い。集団で踊り歌うことが「のど自慢」の主流になる日が来るであろうか。

  わたしは徳永優樹さんに歌手になって多く歌ってほしいが、彼は顔やスタイルは良くないので難しいと思う。

  今はテレビなどの普及により、歌い方のうまさ良さよりも、見た目の良さを求める人が非常に多いからである。

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