盛岡タイムス Web News 2012年 5月 1日 (火)

       

■ 〈イタリアンチロルの昼下がり〉147 及川彩子 イタリアのペット事情

 春真っ盛りのここアルプス地方周辺では、背の高い西洋タンポポに先駆け、人差し指ほどの小さな蕗タンポポが、あちこちの路地で、黄色い花を咲かせます。

  先日、わが家の庭の隅に、群がって咲く蕗タンポポを見つけました。真っ先に見つけた娘たちは大喜び。昨年の秋に亡くなったベネチアの友人の愛犬の遺灰を撒いていたのです。

  ヨーロッパでも、ペット先進国と言われるイタリアですが、ペット霊園はなく、死骸は動物病院に託するのが習わしです。でも、友人は、特別に火葬し、遺灰を引き取って、思い出の地にまいて歩いたのです。

  ペットショップで売られているのは、金魚や亀、ウサギ、鳥等の類。犬は売られていません。犬猫を飼いたい人は、各町のボランティア団体が経営する「捨て犬猫センター」から譲り受けるか、持ち主から直接購入します。

  近所の友人マリアの家でも、孤児犬センターから小型犬を迎えたばかり(写真)。聞くと、「主人に忠実。むやみにほえない。訓練が行き届いている」とのことで、義務付けられている犬と数回の面接を経て、引き取ったとのこと。金額は無料。「相性ばっちりよ」と大満足の様子でした。

  感心なのは、こうした犬のしつけけからセンター運営が、ボランティアの手によって支えられていること。半面、夏のバカンスになると、「犬禁止」の海岸周辺では、ペット処理に困った持ち主が、高速道路やドライブインに置き去りにするケースが後を絶たないと言われます。

  それでも年々加熱するペット産業。そこで、ペットの専門アドバイザーを目指す若者が急増。名門パドヴァ大学にも、専門学科が開講しました。スーパーの出口に置かれている、捨て犬保護の食料寄付籠はいつも満杯。

  イタリアのスローライフに、動物愛護のボランティア精神が、一役買っていることは確かなようです。


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