盛岡タイムス Web News 2012年 5月 4日 (金)

       

■ 〈潮風宅配便〉97 草野悟 三陸を「てをつな号」快走中

     
   
     
  真っ白い車体に40人?の有名キャラクターが手をつなぎ、三陸鉄道北リアス線を快走中です。野田村や田老(宮古市)の瓦礫と満開の桜の中を走っています。ドラえもんもいます。スヌーピーやどーもくんも機関車トーマス、ピカチューやムーミンもいます。停車中の車体の前で、小さなお子さんに交じり、大きなお姉さんも手をつないで記念撮影をしています。

  この「てをつな号」は、人気作家の皆さんが、被災地の皆さんを元気に、ということで無料で提供してくれたものです。一同にこれだけ集まるのはおそらく世界初です。春の明るい陽光に反射して、ぴかぴかの気動車が走ってきますと、おじいちゃんもおばあちゃんも子どもさんも、みんな笑顔で手を振ってくれます。

  大きな打撃を受けた野田村は、ほとんどコンクリートの土台が撤去され、広大な広場のようになっいます。海側にはまだがれき置き場が残り、真っ青な海と空を背景に違和感を放っています。そこに三陸鉄道の復旧したばかりの真新しい線路がまっすぐに伸び、「てをつな号」が走ります。春の芽吹きと一緒に、お店や工場や道路や鉄道が復旧してきています。人間の力は限りなく強いものです。

  その一方で、まだまだ傷も癒えないつらい人たちもたくさんいます。「絆」というマークが氾濫していますが、「絆」は本来美しい言葉です。当事者の人たちが心に思ってこそ使われる言葉で、使い方によっては実に陳腐で安っぽくなってしまいます。「てをつな号」は、さりげなく、それでいて人気のキャラクターの皆さんが「元気」を与えてくれます。素晴らしい天気に恵まれた今年のゴールデンウイーク前半。それぞれの「笑顔」があったのかな、と満開の桜に感謝した一日でした。
(岩手県中核観光コーディネーター)

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