盛岡タイムス Web News 2012年 5月 5日 (土)

       

■ 〈ジジからの絵手紙〉10 菅森幸一 闇市

     
   
     
    今の「ホテル東日本」から「七十七銀行」に至る広大な敷地に平民宰相と謳われた「原敬さん」の別邸が、長いコンクリートの壁に囲まれて建っていた。学校の隣に郷土の偉人の家があるのを桜城小学校の我々は自分の家ででもあるかのように誇りに思ったものだった。

  その向かい側(今のクロステラス)は空き地で、いつの間にか大勢の人々が集まり露店の市場のようなものが出来上った。戦争が終わったとはいえ全ての物資が欠乏していたから盛岡市民には大切な場所ではあったが、売買を禁じられている商品を多く取り扱っているところから「闇市」と呼ばれ、やがて同じような市場が桜山神社の詣内にもできた。

  学校の帰り道、この闇市を通るのが日課になった。今まで見たことがない活気やざわめきがそこにはあった。そんな中でオバアサンがアメを売っていた。今ならとても手も出さないような不衛生で粗末な代物だったがとても輝いて見えた。なけなしの小遣いでそのアメを買った。買い食いは初めてだったから、何故か悪事の共犯者になったようで、とっても悪い事をしたような気がした。 

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