盛岡タイムス Web News 2012年 5月 6日 (日)

       

■ 〈私が愛した男たち〉第9章 佐々木市子 田原俊彦 近藤真彦

     
   
     
  「金八先生」が放映されていた当時、高校の同級生の真紀子ちゃんが、毎週番組を見た後、沢村正治役の男の子にファンレターを書いて出していると話してくれた。真紀子ちゃんが好きになる人ならきっと素敵に違いないと興味津々でドラマを見た。ふんわりした薄茶の髪で色白の顔。繊細な雰囲気があり、フランス映画に出てくる男の子のようだった。名取裕子演じる年上の先生に憧れるちょっと不良っぽい役で、1人だけ大人っぽく、冷めた感じでとびきり目立っていた。「ぬぬぬっ。こっこれは!」これでは好きになって当然ではないか。そしてついにその子がレイフ・ギャレットのカバー曲でレコードデビューするという。私はその日を心待ちにした。

  デビューの日。全身赤の衣装で「哀愁でいと」を歌う彼に遭遇してしまう。「!!!!!!!!」あまりのイメージのギャップに私は絶句した。クールなイメージの沢村正治とあまりに違う。全然落ち着いたしゃべりでもない上に超ブリっこだ。沢村正治風にデビューしてくれていたら(歌がアレでは難しかっただろうが)「田原俊彦っていいよね」とさらっとカミングアウトできたのだが、照れを克服する為に「キャー〜!!トシちゃ〜ん!!」とこちらも恥ずかしいアプローチをするしかなかった。

  すると今度はマッチまでデビューするとの情報が!私は決意した。「マッチを好きになるのはやめよう。トシちゃんだけにしておく」。マッチは天才筒美京平作曲の「スニーカーぶる〜す」をひっさげ全身銀のジャンパースーツで現れた。「!!!!!!」ニキビだらけの顔、「なった気」にかっこ良さがついていかない中途半端な感じ、勢いだけの歌。しかしトシちゃんに負けず劣らず力強い魅力がスパークしていて私はまたしても「マッチ〜!!」と恥ずかしいアプローチでカミングアウトせざるをえなくなった。しかし私の前に「一体どちらを選べばいいのか」という難しい命題が立ちはだかった。私は2人への愛に決着をつけることができずに数年を過ごした。そしてついに「ケジメなさい」のころに「マッチにしよう」と決断した。決めたところで私とマッチの関係は何も変わらなかった。
 

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