盛岡タイムス Web News 2012年 5月 11日 (金)

       

■ 〈野村胡堂の青春育んだ書簡群〉76 八重嶋勲 友も無き身ハ淋しさ云はん方なく

■105はがき 明治三十五年十一月十三日付

  宛 東京本郷区本郷六丁目二十八 月村方 野村長一様

  発 大阪東区伏見町四丁目五十二番屋敷原 達 (抱琴)

  ワザワザ停車場まで送り下され難有存候、□□□と書き出してハ、あまりに他人行儀と□□□を被るやも知るべからず候へども、兎も角も無事で着き申し候間、何卆御安心下され度候、未だ青々も月兎も訪問いたさず、友も無き身ハ淋しさ云はん方なく候。御つれつれの折ハ御手紙下され候ハヾありかたき次第に候、但し例の夢精男のことなれバ時々ハ御返事も差上可申ことヽ御承知下され度候、早々    十一月十三日    大坂ヨリ

  【解説】十一月十日午後六時盛岡停車場を発ち、大阪に着いたばかりであろうか。

安着のはがきである。「未だ青々も月兎も訪問いたさず」大阪の俳人にも未だ合わず、友人もなく淋しいと漏らしている。抱琴は、長一より一歳年下である。

 □のところは、郵便局の日付スタンプでにじんで判読できない。


 

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