盛岡タイムス Web News 2012年 5月 15日 (火)

       

■  がん診療に医科歯科連携 県内でも体制構築へ始動

     
  10日開かれたがん診療医科歯科連携協議会で、地区ごとに意見交換する医師や歯科医師  
  10日開かれたがん診療医科歯科連携協議会で、地区ごとに意見交換する医師や歯科医師  

 がんの手術前後に、歯石除去など丁寧な口腔ケアを行うことで、がん治療中の合併症減少や、がん治療成績そのものの向上につながることが全国的に報告されている。県歯科医師会(箱崎守男会長)は、県や県内のがん診療連携拠点病院、県医師会などと連携し、がん患者が適切な歯科診療を受けられる体制構築に乗り出した。研修会を定期的に開催し、専門知識を持った歯科医師を養成。がん治療を行う病院が、患者に積極的に歯科診療を勧める仕組みづくりにも力を入れる。

 がん患者の口腔ケアの診療体制づくりに向け、第1回がん診療医科歯科連携協議会が10日、盛岡市盛岡駅西通2丁目の県歯科医師会館で開かれた。県内の歯科医師やがん診療連携拠点病院の医師、看護師ら約50人が参加。地域ごと4グループに分かれてのワークショップも実施し、がん治療を行う病院と地区歯科医師会との連携について課題を探った。

 県歯科医師会は今年度、がん患者の歯科治療や口腔ケアについて学ぶ研修会を4回開催。講習Tと講習Uの全課程の研修を終えた歯科医師は、専門知識を得た歯科医師として認定し県歯科医師会のホームページで紹介する。がん診療連携拠点病院にも情報提供し、病院側からも歯科診療を患者に積極的に勧められる体制構築を図る。

 がん治療中は、抗がん剤の副作用などで口腔粘膜炎などを発症しやすく、食欲が落ちるなど全身の状態にも影響を与える。口腔内に繁殖した細菌が原因の肺炎など合併症のリスクもある。

 県歯科医師会などによると、がん治療前に、歯周病の原因となる歯石や歯垢の除去など基本的な措置を行うだけでも、口腔内のトラブルの発症は軽減できる。食道がん術後の肺炎発症率が一般病院で32・2%だったのに対し、口腔ケアを実施した病院では7・6%にとどまったとの研究報告や、口腔ケアを実施した場合と、しなかった場合で、手術後の入院日に倍近い開きがあったとの研究報告もあるという。
 全国的には、日本歯科医師会と国立がん研究センターが昨年8月から、がん患者の合併症軽減などを目的に連携事業を先行実施。1千人以上の歯科医師が連携歯科医師として登録し、百人以上のがん患者が連携歯科医療機関で受診した。

 県歯科医師会の大黒英貴専務理事は「すべての歯科医師会員の研修会参加を目指したい。地域によって環境が異なるため、地域ごとの歯科医師と病院との連携が重要になる。市民への周知も図らなければいけない」としている。


 

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