盛岡タイムス Web News 2012年 5月 18日 (金)

       

■  〈潮風宅配便〉99 草野悟 気を失うほど絶品「塩辛」

     
   
     
  銚子の友人が、「塩辛は銚子が一番。それぞれの作り方がある」と自慢します。大船渡の友人は、「イカ1杯に腑(ふ)が3本だね。濃く作るのがコツ」とこちらも譲りません。料理の天才の私の作品は、「あくまで上品に、しっかり水分を塩で抜いてじっくり仕上げる」と見た目重視です。

  所変わればの通り、銚子の友人たちの塩辛は、すべて冷凍品を使います。「え、冷凍?そんなんで食べられるの?」と聞きましたら、「何を言うか、冷凍以外、塩辛って言えねえ」と剣幕です。わが郷里、岩手の塩辛は何しろ「新鮮」なものしか使いませんから、冷凍物を生で食べるなんて考えも及びません。

  ところがです、とんでもない逸品が手に入りました。

  炊き立ての雑穀ご飯に鎮座しておりますのが、「酒盗合え塩辛」です。こなれたイカの身は、弾力があって軟らかく、塩加減は絶妙としか言いようのないプロの技。そこに小さな酒盗が交じり、そのおいしさに気を失いました。

  参りました。

  この作者、いや芸術家は尊敬する直利庵の大将松井さんです。酒盗も当然手作り、完全無欠の無添加です。塩加減一つの芸術に我を忘れ、気が付くと3杯目のお代わりです。

  これじゃ正月に誓った「脱メタボ」が台無しです。いつかきっと、この塩辛を超えて商品化し、大儲けして沿岸復興資金にしようと、うなずきながらもう一杯。ごちそうさまでした。
  (岩手県中核観光コーディネーター)

 

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