盛岡タイムス Web News 2012年 5月 27日 (日)

       

■  〈岩手和菓子列伝〉15 紫波駄菓子(村上製菓)大谷洋樹

     
  「駄菓子はおやつになるもの」と話す村上稔さん  
 

「駄菓子はおやつになるもの」と話す村上稔さん

 

 駄菓子と言う。しかし最近の駄菓子はそうでない菓子との境界ははっきりしない。紫波町の村上製菓の三代目、村上稔専務は駄菓子を「おやつになるもの。そして比較的日持ちがするものでしょうか」と考えている。

  あんこ玉。これが一番の売れ筋だ。ねずみ色の生地の表面に溶けた砂糖がかかっている。かじってみるとやわらかい。

  材料店から仕入れた生餡と砂糖、水岩を混ぜ、火をかけながら練る。もちもちとした粘りを出すのに練りあがりの直前に餅粉を加え、さらに手作業で練り、台にあげだんごのように手でこねる。棒状にして切り、ころがして丸める。乾燥。砂糖蜜をかけ再び乾燥してようやくできあがり。練りは仕上げを除き機械だが、ほかの工程は手作り。

  あんこ玉は先代のころからつくり始めた。 「先代はちょうどよいかたさにするのに苦労したと聞いています」

  かたさは水の量や練りあがり加減が大きく影響する。水分をとばさないといけない。「練り加減や丸める作業は見たり、さわったりしてころあいを見極めます。練りは時間を計るわけではありません」

  餡の水分が多くやわらかすぎると表面にかける蜜が溶けてしまい「商品になりません」。 蜜は砂糖と水あめに水を加え煮詰めたもの。 「先代も夏場などに蜜が溶けないようにと苦労したようです」 蜜そのものの硬さも気を使う。水分の量や煮詰める温度の加減がある。やわらかすぎると乾燥しきらずに蜜がとけてしまう。逆に硬すぎるとボロボロとした感じになり、舌触りがよくない。

  初代からつくるのが岩。種類が多い。しょうゆ味のらっきょう岩が人気。夏場はハッカ玉が売れ筋となる。

  砂糖と水あめを煮詰める温度がポイント。商品の種類によって違う。水を張ったボウルに煮詰めた蜜を移し、熱いうちに味付けの材料を混ぜ加工する。棒状に伸ばし、切って丸め、形をつくる。冷めきってしまうと硬くて加工できなくなるので電熱器を当てながら手早く作業する。

     
  きな粉ひねり、ごまひねり、あんこ玉。癖になりそうな味  
   きな粉ひねり、ごまひねり、あんこ玉。癖になりそうな味  


  飴は夏場に弱い。手作業だから蜜をつくる際温度を上げるのに限りがあるため、「うーんと硬くならないのです」。だから夏場など暑い時期にはやわらかくなって、とけてしまう。温度を高くあげて十分に硬くつくればとけにくいのだが、それができない。それでも年間を通して作っている。

  先代からきな粉菓子がメーンになった。水岩と砂糖を溶かし、青豆や大豆の粉と合わせて練るもの。ひねり菓子はその代表。切ったものをひとつひとつひねった形にするので手間がかかる。「きな粉ひねり」を食べてみるとほどよい硬さだった。
砂糖がまぶしてあり、小ぶりなせいもあってやめられない、とまらない感じも。

  夏場は水岩と砂糖を溶かした蜜を硬めに、冬場はやわらかめにつくる。「岩なので季節によって硬さが変わってくるからです」。硬さを決めるのはやはり蜜を煮詰める温度だ。

  以前は硬かった。「現代っ子、若い人はやわらかい方がいいようです。年配の人から昔は硬かったなと言われます」。豆銀糖と材料は共通するが、村上製菓の豆銀糖は配合を変えてきな粉ひねりよりもやわらかくしている。

  一般に岩菓子はくっつきやすいものもある。くっつきやすいのは砂糖と水岩を合わせた岩の割合が多いという。

  稔さんは二代目の娘婿。二代目に菓子づくりを習った。「工程の要所でこうすればよいと教えられました」。菓子作りは包丁を使うことが多い。「力を入れても切れません、切るタイミングがあるのです」 村上製菓は大正末期から菓子づくりを始めたという。種類が広がり、みそパンは毎日つくる。店をもたない製造卸で北は盛岡から南は北上まで配送に回る。

  素朴な手作りの味わいで心豊かになる。癖になる味。プロがつくるおやつの心が伝わっている。
(大谷洋樹=地域ライター)  


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