盛岡タイムス Web News 2012年 5月 28日 (月)

       

■  〈幸遊記〉73 照井顕 大宮純の小説・崖の上の楓

 2007年7月15日発行のA5判361nからなる「空を駆ける」。同じく2009年7月15日発行の400nの「機関銃を捜しに来た男」。そして今年2012年の、たぶん7月15日には3冊目となる「春を告げる王の鳥」という単行本を出版する大宮純さん(64)は、日本民主主義文学会に所属する盛岡在住の作家である。

  彼と出会ったのは、2008年の「あづまね山麓オータムジャズ祭」の会場でした。紹介してくれたのは、僕の中学時代の同級生で、彼の奥さんである直子さん。「作家活動をしている夫です」だった。なかなかの男前!

  その翌年の2009年、僕が講師となって4月から始まったNHKカルチャーセンターの講座「ジャズの魅力への招待」を聴講しに夫婦で来たので、僕はビックリギョウテン。何しろ直子さんは、中学時代は学年のテストで毎回1、2番の成績、僕にとっても、同級生の誰にとっても、超憧れの的だったひとでしたから。

  その講座の時、純氏は来た理由を「照井さんの話やジャズを聴き、それについてのエッセーを書きたいために申し込んだ」というものでした。それは2冊目の本「機関銃を捜しに来た男」という小説の巻末エッセーに「ジョニーへの伝言」として載っていました。タイトルの小説は、1971年7月30日に雫石上空で起きた、全日空機と自衛隊機の衝突事故に関する内容で、読み応えがあり、かつ印象に残る作品だった。

  そして今年3冊目となる本に、推薦文というか感想文というのかを、僕が書くことになり、ようやく読み終え書き終えたところなのです。何しろ今作も10篇の小説と65編のエッセー、それに寄稿文や寄稿小説まで並ぶ大冊なのである。タイトル小説は、2011年3月11日の東日本大震災時の体験をつづった「春を告げる王の鳥」と、その続編。 中でも僕を捕らえてしまったのは、彼、大宮さんの母が麻を植え、それを繊維にし機織機(はたおりき)にかけ布にし、遺していった反物にまつわる「崖の上の楓」。大宮純(本名・伊藤孝)と、その兄たちが生まれ育った江刺、50年前の母の懸命さと、作者自身の心が一つになって生まれた作品であった。
(開運橋のジョニー店主)  


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