盛岡タイムス Web News 2012年 6月 12日 (火)

       

■ 〈イタリアンチロルの昼下がり〉150 及川彩子 コムニーネの日

     
   
     

 イタリアの学校は、6月の1週目で年度を終え、9月まで、3カ月間という長い夏休みに入ります。そのバカンスを目前にした5月の日曜日、各町の教会では宗教上、最も大切な儀式が行われました。

  カトリックでは、誕生時に行われる洗礼式、そして小学4年生の10歳の時に、「コムニオーネ」という聖体拝受の儀式を受け、晴れて一人前のカトリック教徒になるのです。

  小学校に入学すると、宗教の授業が始まり、そして週に一度、教会学校で、キリスト教義を学び、コムニオーネに備えるのです。

  数カ月も前から、両親そろって参加するキリスト教の講義ばかりでなく、トゥニカと呼ばれる僧衣の調達、記念撮影、親戚・知人一同へのあいさつ状、近所に配る記念菓子の手配、祝いの膳、それに教会でのリハーサルなど、さまざまな準備に追われます。

  また、親戚に、コムニオーネを迎える子がいると、どんな遠方からでも駆けつけるため、その宿泊などの準備もしなければなりません。家族のつながりを何より大切にするイタリア人にとっては、うれしい悲鳴。

  わが家の次女ジュリアのクラス仲間も皆10歳。この日、朝からゴーンゴーンと鳴り渡る祝いの鐘の音に誘われ、私たちも、コムニオーネのミサに駆けつけました。

  教会前に勢ぞろいした子どもたちは、50人余り。みんな真っ白な僧衣をまとい、まるで花嫁・花婿のようにかれんです〔写真〕。見守る親戚や町の人々で、あふれんばかりの教会。両親と入場する子どもたちは、緊張の面持ちです。

  そして、厳粛に進むミサの中、一人ずつ、司祭から「イエスの身体」という言葉とともに、薄パンを口に含んでもらう聖体拝受になると、感激のあまりすすり泣きも聞こえます。

  一人前とは、 キリストと一体になること。子の成人姿を見る感激は、宗教を超え、私たちの心にも迫ってくるのでした。



本ページ掲載内容の無断転載を禁じます
ホームページに関するお問い合わせ、取材に関する情報は
E-Mail:hensyuu@morioka-times.com
盛岡タイムス宛てにお願いします