盛岡タイムス Web News 2012年 6月 14日 (木)

       

■ 自然生かし新しい福祉を 佐々木さん法人設立で障害者雇用

     
   ドリームファーム理事長の佐々木さん(右から4人目)と利用者、従業員(13日の袋掛け作業で)  
   ドリームファーム理事長の佐々木さん(右から4人目)と利用者、従業員(13日の袋掛け作業で)
 

 盛岡市乙部の果樹園園主、佐々木信之さん(39)は、障害者を雇用して農業生産する一般社団法人ドリームファームを設立し、4月から事業を始めている。障害者自立支援法の就労継続支援A・B型事業所として現在利用者28人を受け入れ、従業員9人も一緒にリンゴや野菜などを生産している。利用者に通年の仕事と給料を確保、提供し、自立を支援。来春には就労移行支援事業の展開も計画。経営を成り立たせながら「自然を生かした新しい福祉」を展望する。

  佐々木さんは数代続く農家として高校卒業後18歳で就農。「当時から自然を生かした仕事をしたかった」と、グリーンツーリズムの事業を思い描いてきた。2009年度いわてアグリフロンティアスクールで、アグリ管理士の認定も受けた。

  障害者の自立支援事業については、3年前から構想を温めていた。果樹園でリンゴの間引き作業などを障害者に委託。「仕事のない方に協力し、働く場を提供できれば」と今年1月に法人を設立。理事長に就任し、4月1日から事業開始した。

  現在A・B型(定員各15人)に3障害(知的、身体、精神)の19歳から50歳代までの男女が利用。勤務は平日の午前8時半、同10時半からの2体系。遠くは同市みたけ、青山の居住者もおり、送迎を受けたり、自力で通ったりしている。

  仕事はリンゴとサクランボのほか新たにできた野菜畑40eでの生産活動。13日にはリンゴ「はるか」の袋掛け作業が行われ、手先の器用な利用者が作業に精を出していた。季節によって作業の種類は豊富にあり、それぞれの能力や適正に応じた仕事が提供できる。

  佐々木さんは「自然を使った新しい福祉、お互いができない部分を補い合うビジネスとして、自然を通じて手伝えることがあればと考えた。みんな農業の経験や汗をかいて仕事する経験が少なく、最初は根を上げても楽しんで仕事をしている」と話している。

  福祉が専門でない佐々木さんを支えるのは、施設長の大信田康統・元もりおか障害者自立支援プラザ所長。福祉分野の対応や相談業務に当たっている。

  「限られた時間の中で自分のペースで能力に合った仕事をするのに農業は良い。作物の成長過程が見えるし、自然の営みの中にとけ込むことで心が安らぐ。地域の中で生きていくために働く場所が一つでも確保されるのは大事だし、取り組む人が楽しくなければ希望を持ち、先を見据えたビジョンは描けない」と意義を語る。

  佐々木さんは今後、裏山でキノコ園整備も計画するなど、通年で仕事の確保を図る。

  来年4月に矢巾町の流通センター内で就労移行支援事業も開始予定。航空機の元客室乗務員を講師に接客マナーなどの就労に向けた訓練を支援。事業所への雇用を働きかける。将来的には同町と乙部地区にグループホーム設置も計画する。

  「事業はまだ軌道に乗っていない。今年は勉強する1年だと考えている」と、安定経営にじっくりと構える。



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