盛岡タイムス Web News 2012年 6月 14日 (木)

       

■ 夜空に夢見る星めぐり309 八木淳一郎 神々のエピソード

 このところ蒸し暑い日が続きます。それもそのはず、夜空を見上げれば、東の空には夏の星座たちが顔をそろえ始めています。天頂から西の空にかけてはもちろんまだ春の星座たちがにぎわっていて、地上の気候も星空と同じように、春夏が混在しています。

  惑星たちはと言えば、金星は先日の日面通過を境に明け方の空に回って、これから来年初めにかけて明けの明星として輝きます。8月14日には未明の時間帯に月に隠される金星食という現象が見られます。今年は金星もなかなか忙しくて、タレント並みの活躍ぶりです。一方、土星はおとめ座にあって、1等星スピカに寄り添う仲むつまじい生活を送っています。望遠鏡を向けてみましょう。15年ごとに変化する輪の傾き具合ですが、今年はいかにも土星らしい姿を見せてくれています。こんな美しい土星ですから、おとめ座のスピカも当面の間、離しそうにありません。日に日に少しずつ西の山並みに沈む時間が早くなってはいきますが、それでも8月いっぱいくらいは土星の魅力を楽しむことができるでしょう。

  さて、春と夏の間をとりもつ星座と言えば、てんびん座やかんむり座、そしてへび座などでしょう。中でもへび座はへびつかい座というのが両手で持っている星座なのですが、蛇があまりに長いために、星座はへびつかい座をはさんで頭の方としっぽの方の二つに分けられています。向かって右(西)側が頭部、左(東)側が尾の方になります。蛇使いはこの蛇を使って病気を治してしまう大変な名医なのですが、亡くなった人も次々と生き返らせることからこの世に混乱を招いてしまう。このため、神々たちによって蛇ともども天にあげられてしまったのです。

  かんむり座の冠は酒の神デオニソス(バッカスとも言います)が最愛の妃アリアドーネに贈ったものです。しかし、人間であるアリアドーネはやがて年老いて亡くなってしまいます。悲しんだデオニソスは永遠の愛の証しに冠を天に上げ、星座として夜空を飾ることになったのです。見上げてみてください。7つの宝石がちりばめられた冠の何と美しくかわいらしいことか。

  てんびん座の天秤は、物の重さを量る道具のことではなく、物事や人の善悪を決める裁判に用いる物で、その裁判官は正義の女神アストライアです。この女神はおとめ座、すなわち農業の女神デーメーテールそのものとされています。次第にエスカレートする人間の争いに愛想を尽かした神々は人の世を見捨ててしまいます。アストライアは最後まで人間を信じて見守るのですが、そのアストライアもやがて…。その後の人間界はどうなったでしょうか。戦前、戦時中から今に至る私たちの国日本の、権力、検察や司法、メディアそして世論などというものが女神アストライアの目にはどう映っているのでしょう。
(盛岡天文同好会会員)


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