盛岡タイムス Web News 2012年 6月 15日 (金)

       

■ 〈潮風宅配便〉103 草野悟 「気持ちいいー汗」

     
   
     

 6月に入り天候不順ながらも気持ちいい日が続いています。南東北まで梅雨入りしたとの情報も気になります。

  震災直後から、休みなく働いてきた三鉄の電車(正確には気動車)をピカピカに磨いているのは、運転手の和田君と志田君です。ホースで水をかけ、長いモップで磨き、窓ガラスは手作業で外と内から丁寧に磨いています。「お客さんの楽しみは景色ですから窓は大事です」と汗をかきながら磨きます。電車も「気持ちいい〜」と喜んでいます。

  和田君の住まいは「鵜住居」です。見るも無残な集落破壊の町です。和田君の家も車も身内も仲間も消えてしまいました。志田君は大船渡・赤崎の海辺です。家の屋根まで浸水しました。人生で一番大事なフィアンセも失いました。心の中は見えませんが、2人とも気持ちいい汗を流しています。青空に真っ白なシャツが似合います。1年3カ月を経過しても「その日は過去ではなく、まだ現在」という心境です。日々被災地の景色は変化していますが、心の中は「そのまま」です。

  和田君も志田君も、毎日変わらず元気な声で「おはようございます」と乗客に声をかけます。乗客も清潔でピカピカの車両に笑顔で応えてくれます。「大好きな三鉄です」と、2人とも前向きに生きています。「なによりも、元通り全線が開通するのが夢」と希望は失っていません。望月社長の「前向き三鉄」の姿勢に2人とも「元気になる」と共鳴です。

  そんな三鉄がきょうも走ります。田老を越えて佐羽根、小本と短い区間を往復しています。素晴らしい天気、素晴らしい社員、きっと新生三鉄は、もっと素晴らしく生まれ変わると信じています。
(岩手県中核観光コーディネーター)


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