盛岡タイムス Web News 2012年 6月 16日 (土)

       

■ 学び舎結ぶ教えの絆 もりおか心のかけはしプロジェクト

     
  手作りの名刺を交換し交流する生出小と小本小の児童  
  手作りの名刺を交換し交流する生出小と小本小の児童  

 東日本大震災津波の教訓から学び、子どもたちが未来へ前進していくよう後押しする「復興教育」が盛岡地域でも本格化している。盛岡市教委は今年度、沿岸被災地の学校との交流事業の交通費などを支援する「もりおか 心のかけはしプロジェクト」を推進。市内の全小中学校が、沿岸姉妹校と協力し、特色ある教育活動に取り組む。

  盛岡市玉山区の生出小学校(菊池明校長、児童51人)の3〜6年生35人は14日、岩泉町小本の小本小学校(太田勝浩校長、児童69人)・同大牛内分校(児童10人)を訪問。総合的な学習で栽培しているミニトマトの改良品種「ミニティ」の苗を贈り、絆を強めた。

  玉山区の小学校は、内陸と沿岸の学校を姉妹校とし、ニーズに合った支援をする横軸連携で小本小を支援、昨年から交流を続けている。大牛内分校の体育館で開かれた交流会には、小本小と大牛内分校の全校児童が集まり、生出小の児童たちを歓迎した。

  生出小の福田萌華児童会長(6年)は「一緒に楽しい時間を過ごして仲良くなりましょう」とあいさつ。続いて3、4年生が演劇を交えながら、大型の手作り絵本で「ミニティ」の誕生や栽培について発表した。5年前から品種改良を始めたことや、八幡平市の「ひまわり農園」の協力で、大切に育ててきたことなどを紹介。小本小には2本ずつ苗を植えたプランター10鉢をプレゼントした。

  このあと、手作りの名刺を交換し合ったり、ゲームを楽しんだりして交流。昼食も両校の児童が輪になって食べた。

  生出小3年の高橋柚稀君は「友達ができて面白かった。ミニティは優しい言葉を掛けて育てると元気に育つ」と笑顔。小本小大牛内分校6年の千葉慎也君も「楽しかった。いつか、たくさん支援してもらった恩返しをしたい」と充実した表情だった。小本小の田代美咲児童会長(6年)は「たくさんの支援を忘れず、自ら前へ進んで頑張っていきたい」と誓った。

  小本小は津波で校舎が浸水。児童の自宅も約3分の1が被害を受けた。昨年は4月から9カ月間、岩泉小を間借りして学習。今年1月に大牛内分校敷地内に仮設校舎が完成した。太田校長は「子どもたちには復興へ向かう十分な素地がある。そこへ光りを当て、肥料をやることで、真っすぐ前に向かって進む子を育てたい」と話す。

  生出小の菊池校長は「震災津波について内陸と沿岸とでは温度差がある。苦難を乗り越えながら、頑張っている同じ時代を生きる小学生がいることを感じてほしい。交流の思い出は子どもたちの将来にも、きっと生きてくる」と期待した。

  交流会のあと、生出小の児童たちは、73世帯が暮らす同町内の仮設住宅小本団地も訪問。ミニティのプランター75鉢を贈った。「被災地のことを忘れずにいてくれることが何よりの支援」と自治会長の三田地和彦さん(64)。震災津波当時の様子を児童たちに語り「日ごろから、いざという時にどうすればいいか、自分に言い聞かせておくことが大事」と呼び掛けた。

  「もりおか 心のかけはしプロジェクト」は国の2011年度第3次補正予算に盛り込まれた復興教育支援事業に採択された。今年度、889万円を予算計上し、児童生徒が交流する際の交通費などを支援している。

  各校が、沿岸地域でのボランティア活動や水産加工体験、姉妹校の児童生徒を盛岡に招いての郷土芸能や合唱での交流、キャンプなど多彩な活動を計画している。交通費を補助することで児童生徒が直接、触れ合い、学び合う教育活動が充実したという。

  盛岡市教委の高橋秀治学校教育課長は「盛岡では映像や写真でしか被災地を知らない子が多い。じかに触れ合うことで、心に染みるものがあるはず。自分たちに何ができるのか、将来へ向けた心の教育につなげたい」と話している。



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